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超人の面白読書 132 大西比呂志著『横浜をめぐる7つの物語』 5

野村家の援助で1936年に長女ヨアン、翌年にゴッドフリートが横浜の病院で生まれる。ヨーンもドイツ人弁護士の事務所で働く。日本はドイツほどにユダヤ人を排斥せず、むしろ豊富なユダヤ系資本を利用して局面を打開したいという思惑があるから、ヨーロッパから満州や上海経由でやって来るユダヤ難民を積極的に受け入れる。その大半は自由を求めて北米へ出国する。当時神奈川県内でポーランドから289人、ドイツから47人など354人のユダヤ難民がいたそうだ。著者は所々にマリアの回想録を挟み、1930年代~1940年代の戦前・戦中・戦後において時代に翻弄されていくマリア一家の動向を描く。あの“ゾルゲ”にも一度だけあったと回想録に書き残しているが、当時のナチスドイツ政権下のドイツ大使館員もマリア一家を手助けしている。ドイツ人、日本人それにアメリカ人といろいろな人に助けられながら横浜、茅ヶ崎、軽井沢、茅ヶ崎と転々する。そして戦後自由を求めてアメリカに渡ることになる。なるほど、この手の話としてはリトアニアのカナウスで6000人余のユダヤ人にビザ発給をした外交官杉原千畝の人道主義はあまりにも有名だが、著者も言っているようにそれだけではない歴史に埋もれた民衆の有様を掬いとることもまた大事なことなのだ。その実例がドイツの家族の物語だ。さて、横浜生まれのゴッドフリートさんは大学で何を研究していたのだろうか、筆者的には大いに興味あるところだ。(続く)

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