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超人の面白読書 132 大西比呂志著『横浜をめぐる7つの物語』 3

第3章の「関東大震災と朝鮮人」で小見出しを拾うと、関東大震災発生、軍隊の出動、流言の発生、横浜の流言飛語、フェリス生徒のみた震災と朝鮮人、「不逞日本人」、朝鮮人に対する偏見、朝鮮人の犠牲者たちそしていま学ぶべきこととなっている。
つい最近大阪北部地方を中心にマグニチュード6.1の地震があり犠牲者も出た。大阪でこれほどまでに起きた地震としては、1596年の豊臣秀吉の伏見城築城時以来とか。なんと420年以上経っての地震だ。そしてSNSなどでは少なからず流言も出た。地震大国日本は、昔から地震やそれに伴う津波災害を受け、その都度復興してきた。それはこの風土に生きた先人たちの知恵である。記憶に新しい東日本大震災・福島第1原発メルトダウンは甚大な被害をもたらし改めて自然災害・人災の恐ろしさを痛感、特に福島第1原発のメルトダウンは瞬時に世界の知ることに。「備えあれば憂いなし」を心掛け「楽観バイアス」(昨日の毎日新聞日曜版海原純子のコラム「新・心のサプリ」)に陥らないことだとか。
さて、近年の大地震はやはり1923年(大正12)に起きた関東大震災だろう。その時朝鮮人に対する流言が流れたことはつとに有名だが、本書は横浜での動きを統計などを駆使して追っている。その一部。

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これで見ると著者も言っているように、集中度からいえば横浜は東京以上の大きな被害を受けたことになる(本文P.62)。そして朝鮮人に対する流言(デマ)。コトの真相は山口正憲を首領とした「横浜震災救護団」を名乗って略奪や暴行をほしいままにした一派の暗躍によるものだという。それではなぜパニックを起こさせるような流言が起こったか。それは第一次大戦による好景気で京浜工業地帯が発展し、労働力として朝鮮人が移住してきたからだ。低賃金で働かされたのである。と同時に、底辺で働く日本人労働者の職を奪いかねない存在となり、植民地支配の優越感や差別感情とつながって朝鮮人を敵視し排除する方向に。日常の不安がそうさせたと著者は書いている。専門家の研究では朝鮮人の犠牲者は2000人あまりだという(本文P.81)。最近のヘイトスピーチなど隣国に対して不寛容さが目立つが、過去の悲惨な出来事を歴史的事実として受け止め向き合い、決して歪めることなく相互交流・理解を深めていくことだ。江戸時代には朝鮮通信史の善隣外交が12回も続いたのだから。その中心人物雨森芳洲の朝鮮語読本は立派なものだ。筆者は20年以上前に彼の生誕の地滋賀県高月町の記念館を訪ねてその現物を見たことがある。著者もこの章の終わりで国際交流の重要性を説いている。(続く)

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