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超人の面白読書 132 ネットで西脇順三郎『旅人かえらず』を読む

詩人の和合亮一氏が、毎日新聞夕刊の詩月評「詩の橋を渡って」(2018年4月13日)の冒頭で西脇順三郎の詩『旅人かえらず』(講談社学芸文庫)について言及していた。テレビ番組のコーナーで脚本家の大石静氏がこの文庫をカバンに入れて持ち歩いていることを紹介。今静かな話題になっていると書いていた。西脇順三郎の初期傑作を新鮮な覚醒の詩と評価し、それに対して、戦後すぐに刊行された『旅人かえらず』は、誰にでも親しめる身近な短い詩だと書き記した。『詩人 西脇順三郎』(クロスカルチャー出版)の著者の一人、太田昌孝氏に倣えば、『旅人かえらず』はアタルシア(心の平安)をもたらす詩なのだ。検索して解ったことなのだが、テレビ番組は安定した視聴率を誇る、つい1ヶ月ほど前まで有働由美子が司会を務めていたNHK「あさイチ」(2018年4月13日放送)だった。この番組は全国放送なので影響力があるはず。試しにアマゾンを覗いたらこの文庫は品切状態で、一部の古本屋にも在庫がなかった。筆者は大分前に手にして何度も読んでいる。今回ネットで読めることを発見したのだ。在阪の文学愛好者のサイトだ。このサイトで1時間かけて全168篇を再読。なるほど、なるほど。多摩川周辺を逍遙する西脇順三郎がいる、自然と戯れ、ときどき学識を散りばめながら自由自在に歩く〈幻影の人〉がいた。何故か永井荷風の下町逍遙を思い出した。少し時代は違うが同じ慶応の教授だった。仏文学と英文学の違いはあったが、後年は二人とも日本の江戸文学と民俗学に傾いた。『旅人かえらず』を読めるサイトはこちら→
http://www.asahi-net.or.jp/~va6n-nsok/shi1/tabibito-shi.html

このサイトから一篇。こういう詩もあるのだ。

二八

学問もやれず
絵もかけず
鎌倉の奥
釈迦堂の坂道を歩く
淋しい夏を過ごした
あの岩のトンネルの中で
石地蔵の頭をひろつたり
草をつんだり
トンネルの近くで
下から
うなぎを追つて来た二人の男に
あつたこんな山の上で


追記 筆者は今江ノ島アイランドに。これから鎌倉へ。ゴールデンウィークの後半戦、ときどき強い風が吹いているが、夏日を思わせる暑さと人混み、が、海からの風でクールな気分。マラルメの詩の『海の微風』の一篇も良いが、西脇詩、いいね。(5月4日 記)

追記2 この3月に退職した英米文学研究者(エズラ・パウンド研究、谷川俊太郎などの日本の詩人の翻訳などが専門)のN先生から最近贈られてきた翻訳本(An Anthology of Japanese Poems (1900s-1960s THE SINGING HEART compiled and annotated by Yamamoto Kenkichi Translated by William I. Elliot and Nishihara Katsumasa, Hon-no-shiro 2001. 原書: 山本健吉著『こころのうた』)文春文庫 1981年5月25日第1刷)、その中の西脇順三郎の「旅人かえらず」のページをN先生に許可を得て抜粋してみた。ドナルド・キ―ン訳などと比較すると良い詩歌鑑賞になるのではないかと。その抜粋部分を読むはこちら→表紙と翻訳文「20180515114523.pdf」をダウンロード 原書『こころのうた』の西脇順三郎「旅人かえらず」のページ「20180515114506.pdf」をダウンロード (5月15日 記)

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