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超人の面白読書 131  ジョージ・オーウェル『1984年』 3

作家のトーマス・ピンチョン氏が解説で「オーウェルは永遠の反体制派として、労働党がその自己矛盾、とりわけ、戦時に、保守派の主導する圧政的な政府に盲従し、挙国一致体制に参加さえした矛盾と向き合うのを嬉々として助けたに違いない。一旦その種の権力の味を覚えた労働党が、創立者の理念を信奉し、虐げられた者の側に立った闘争に立ち戻る道を捨て、権力の拡大を図るというのは、いかにもありそうな話ではないか?この権力の意思を40年先の未来に投影してみるがいい。そうすれば、最後に再度待っているのは〈イングソック〉であり、オセアニアであり、〈ビッグ・ブラザー〉なのだ」と書いているが、この小説の真髄を言い当てている気がする。
SF小説、近未来小説、政治小説、寓意小説、恋愛小説等々この小説は読み方によっていろいろとジャンル分けが可能だ。小説(新訳と原書併読)、映画、漫画、舞台と媒体を変換しながら、この小説の全体像に肉薄しようと試みる旅は、道半ばで小括の試みと旧訳に当たって新旧のニュアンスを確認するに至った。ところが、この旧訳本が絶版で手に入りにくく往生していたが(近くの公共図書館に借り出しを申し込んでも3ヶ月待ち状態)、かろうじて大学図書館で見つけて今ほっとしている。
『1984年』が1949年に出版されて来年で70年になる。オーウェルが描いたオセアニア、ユーラシア、イースタシア(彼が生きた1930年代―40年代の英国とアメリカ、ヨーロッパ、スターリンの旧ソヴィエト連邦と中国や日本の世界情勢、それは戦争と平和それにイデオロギーが対立する時代でもあった)を念頭に置きながら現状の世界情勢(約80年後の2018年)を一瞥すると、英国のEU離脱、プーチンロシアの独裁体制、トランプの独善的なディール外交とダブルシンクを思わせる政治、損得勘定それに唯我論的なアメリカ(一昨年、トランプの登場でその政治手法が『1984年』を彷彿させたのか評判になり本が売れた)、習近平の独裁体制の中国、不安定な朝鮮半島、中東アジアの紛争、アフリカの内戦等々不確実な時代が、国連の機能が空回りしているくらい、非核化・戦争放棄(たった今入ったニュース。北朝鮮が豊渓里の地下核実験場廃棄のため爆破と韓国通信社が報道。2018年5月24日午後8時過ぎだったが、さらに驚かされたのがアメリカのトランプ大統領が6月12日のシンガポールでの米朝首脳会談を中止したことだ。非核化の道は遠いということか。異例の北朝鮮の金委員長への書簡まで公開した。が、ここで事態は急展開、韓国文大統領と北朝鮮の金委員長が板門店で秘密裏に2回目の会談を行い、直後に今度はアメリカのトランプ大統領が、米朝首脳会談をする用意があると撤回した。どうなっているのか、先行き不透明で不可解だ)と平和維持の困難さを露呈したままなのだ。オーウェルの描いた世界とどう符合するのか。

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