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クロカル超人が行く 211 朝日カルチャーセンター名古屋教室 特別企画2回目「西脇順三郎 その詩を読み解く」

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朝日カルチャーセンター名古屋教室特別企画「詩人 西脇順三郎―その生涯と作品」(2月と3月の2回開催)を聴きに名古屋まで出かけた。講師は司会役の歌人の鈴木竹志氏、パネラーは歌人で東海学園大学教授の加藤孝男氏と詩人で名古屋短大教授の太田昌孝氏。第1回は2月18日に開催され西脇順三郎の生涯について上記3名のパネラーが語り合った。今回は2回目でもう1人、芥川賞作家の諏訪哲史氏が参加するはずだったが、前日に腰痛で救急車で運ばれたらしく不参加だった。これは筆者にとってはショッキングな出来事!諏訪哲史氏にサインしてもらおうと著作2冊を携えて臨んだからだ。残念。その代わりに『詩人 西脇順三郎』の著者加藤孝男先生と太田昌孝先生の生の講義を聴講できた。共著を読んで気づいたことだが、加藤先生の筆による文章と太田先生の文章には温度差があって、前者が柔らかいのに比べ、後者がやや硬い感じになっていることだった。しかし、シンポ形式の講義では、鈴木竹志氏の名司会の誘導で語るお二人の口調が逆転していたことが筆者とっては何より新鮮だった。
シンポ形式の講義は、有名な「天気」から始まって「雨」、「眼」、「秋」、「はしがき」(「幻影の人」の解釈はとても解りやすくすてきだった)、「山樝(さんざし)の実」などを読み解きながら、両者の感受力を駆使して独自の解釈を披露した。特に太田先生の解り易い解説は初めて聴く者にとって、難解で知られる西脇詩の“難→易変換”―例えば、パソコンの漢字からかな変換するようにやさしく(優しく・易しく)―を可能にし西脇詩の解釈を豊かにしている。一方、歌人である加藤先生は、塚本邦雄や萩原朔太郎を通じて西脇順三郎の詩を知ったと語る。そして、西脇詩の「眼」に注目し、その戦前版と戦後版の差異に一つひとつ鋭い解釈(改稿された戦後版の「眼」がすごいと絶賛。興奮気味)を施す。また、司会の鈴木氏選の詩は、「皿」と「雨」だ。その「雨」の詩。



南風は柔い女神をもたらした。
青銅をぬらした、噴水をぬらした、
ツバメの羽と黄金の毛をぬらした、
潮をぬらし、砂をぬらし、魚をぬらした。
静かに寺院と風呂場と劇場をぬらした、
この静かな柔い女神の行列が
私の舌をぬらした。

何ともエロチック。動詞「ぬらす」の効果が抜群の詩。 筆者的にはひらがな「ぬ」の文字が音韻「nu」と視覚のイメージ〈ぬ〉それに意味を重ねることによってポエジーを産み出していると思うのだ。それに何をぬらしているか、対象がおもしろい。「雨」の詩はイマジズムの手法を取り入れていると指摘したのは西脇順三郎研究家の澤正宏先生。ドナルド・キーン氏の「雨」の英訳ではそれを単純だが上手く表現している。“wet”の妙技―。

ドナルド・キーン氏の英訳を読むはこちら→http://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2015/07/post-2929.html

ドナルド・キーン著『Dawn to the West』の西脇順三郎の言及の項を読むはこちらhttp://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2016/07/post-dc66.html

こうして質疑応答を含めて2時間のシンポ形式の講義は終了した。面白かった。
このあと場所を名駅近くの中華料理店『平和園』に移して懇親会があった。歌人が集まる場所だそうだ。作家志望の院生・学生さんも交えて講師の先生たちと楽しく歓談後、新幹線で帰宅。時刻はすでに午前0時を過ぎていた。

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【写真上: 朝日カルチャーセンター名古屋教室 写真下: 中華料理店『平和園』に集った人たち いずれも筆者撮影】


付記 昨日(2018年3月9日)アマゾンのwebslteを閲覧していたら『詩人 西脇順三郎』は、☆5つだった!

付記2 駄作を一つ。


〈覆されたダイヤモンド〉の夜
窓辺で誰もが叫ぶ
それはオーロラの誕生

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