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超人のドキッとする絵画 31 東京都美術館 ボイマンス美術館所蔵「バベルの搭」展

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 【東京都美術館の案内チラシの
 「バベルの搭」】
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【東京都美術館入口付近の案内ポス
ターの「バベルの搭」】
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【入口の大友克洋の「Inside Babel」】
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   【出口の「バベルの搭」】
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【上野構内の『たいめいけん』。海老
オムライス+チラシ「バベルの搭」】

ジョージ・オーウェルの『1984』をやっと読み終えた。ディストピア小説の最高傑作。新訳もこなれていて読みやすい。限りなく「現代」を映し出していてそら恐ろしい。この想像力・創造力!恐らく著者の経験が背景にあることは容易に想像がつく。でないとこれだけの小説は書けない。トーマス・ピンチョンの解説もまたよく読み込んでて的確、素晴らしい。今度は念願のジョージ・スタイナーの『After Babel』に原著と翻訳書でチャレンジしたい。この原著の見返しにはこの本の内容を象徴的に表している「バベルの搭」の絵が挿入されている。原著は複数の言語で書かれていてかなり根気のいる読書となるはず。翻訳は原著が出て35年後に刊行された([上]が1997年、「下」が2009年に刊行)。まさしく言語と翻訳の問題を扱っている。 その前に気になっていた展覧会に出向いた。

東京都美術館特別席展
ボイマンス美術館所蔵
ブリューゲル「バベルの搭」

16世紀ネーデルラントの至宝ーボスを越えてー
オランダのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館のコレクションから、ピーテル・ブリューゲル1世の「バベルの搭」(旧約聖書の「創世記」にある伝説の搭。天まで届く高い搭を築こうとするも、同じ言葉を話す民だからこんなことをすると言葉を通じなくし搭の建設を途中で打ち切ってしまう。神の逆鱗に触れた話。傲慢さと愚かさの戒め)と奇想の巨匠ヒエロニムス・ボスの作品を中心に、絵画、彫刻、版画など16世紀ネーデルラント美術のコレクション約90点を展示紹介。(参照: 東京都美術館CALENDAR 2017[平成29].4→2018[平成30].3)

16世紀北ヨーロッパのオランダ絵画の世界に。
「aera_mook_2017.4.20刊ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展公式ガイドP.78-P.79).pdf」をダウンロード
少し薄暗い世界、幻想、怪奇、寓話の世界へ。教会関係者の彫刻から始まり、肖像画などホラント地方の美術、ボスの絵

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【ボス: 浮浪者(行商人)  よく観察すると面白い】
や版画などを観て歩き、奇想の世界に

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【ブリューゲル: 大きな魚が小さな魚を食う。
当時の体制批判、寓意画】

少し引き込まれたあと(何故か横須賀美術館て開催された「澁澤龍彦展」を思い出した)、ピーテル・ブリューゲル1世の[バベルの搭]を観賞。その絵の何とも言えない造形美、人々の表情など描写の緻密なこと、それに色彩の冴え、一つ一つ観ていても飽きず、これが16世紀中期のものかと驚くばかり。筆者的には褐色の搭に不穏な雲、それはニューヨークの世界貿易センタービルに飛行機が突撃してビルが崩壊し多数の犠牲者を出した大惨劇、あの16年前の9.11同時多発テロのシーンを思い起こした。しかし、この絵の前には人だかりができていて、じっくり観賞している暇はなく係員の誘導するまま歩を進めざるをえなかったのが残念。特に出口付近のミュージアムショップでは買い物客でレジは長蛇の列、いやはや凄いことになっていた。これでは“建設中”の「バベルの搭」も崩れそうな気配(笑)。それで急いで東京都美術館を出て、JR駅構内の『たいめいけん』で食事をしたのだが、驚くなかれここのメニューに“バベルの搭カレー”なるものがあったのだ。ファミリーで食事のテーブルにはそのバベルの搭カレーが供されていた。搭は黄色みがかっていてきもち高かった。老舗の洋食屋はあやかりメニューまで作ってしまったー。

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