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2016年9月

超人の面白テレビ観賞 ETV特集「武器ではなく命の水を~医師・中村哲とアフガニスタン~」 3

中村は800人収容の巨大モスク(授業料無料の小学校を併設)も建てた。日本から6000キロ離れた中近東の山岳地帯のアフガンで活躍する、一人の勇気ある日本人医師中村哲の仕事に賛辞を贈りたい。本当に役立つこととはこういうことなのだ。映像は褐色の砂漠から緑の沃野に変わった風景を写し出す。用水路ができたことで治安が良くなり、平和な暮らしが戻って来たと地元の人々の喜ぶ表情も映し出す。今や用水路は9ヵ所、アフガン東部3郡に跨がり、田畑面積16000ha、60万人を潤す規模に。今後国連とJICAとの連携も視野に入れて事業を更に進めるという。中村は言う。「これは平和運動ではない、医療の延長なのだ。・・・戦いをしている暇はない・・・。争いことがなくなり、平和になったが、これは結果であって平和が目的ではない・・・」
緑野した広大な光景と現地の人々に感謝され祝福されている中村の表情が筆者の瞼に焼き付いた。15年の歳月を追った取材も見事である。

このあとユーチューブで8月26日記者クラブでの中村哲医師の講演を視聴した。アフガンの医療・診療所つくり、農業用水路建設活動費は、ぺシャワールの会の会員12000人の寄付3億円によって成り立っていると。1984年NPOの派遣でパキスタンのハンセン病など感染症治療を皮切りに医療活動を開始し、その後アフガンにわたって灌漑用水路建設にも従事して32年、日本人にはあまり馴染みのないイスラム圏山岳地域の、民族(多民族)、宗教(イスラム教)、政治(部族中心の緩やかなシステム)、経済、文化の違うアフガンで様々な活動を続けている。その原動力は“武器ではなく命の水”を広めていこうとする強いパッションである。彼は誰か僧侶の言葉だと断った上で、「一隅を照らす」という言葉を発した。自分のやってきたことの意味をこの言葉に託したのだ。小柄でやや細いが優しい目、濃い眉毛、髭を生やしハンチング帽子を被った、白髪の69歳の人懐っこそうな九州人は、流暢なアラビア語と英語を話す含羞の人であり、また、信念の人でもある。彼の功績は数々の賞が物語っている。こういう人にこそノーベル賞を差し上げてほしいものだ。

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超人の面白テレビ観賞 ETV特集「武器ではなく命の水を~医師・中村哲とアフガニスタン~」 2

中村は医師ではあったが土木治水技術に関してはずぶの素人、それでも見よう見まねで図面を引き、自ら現場監督兼作業員として汗を流す。堰や取水口や堤防や用水路を造っていく作業は難事業で、土台の粘土がやわらかくて石積みしても崩れたり、クナール河(7000メートル級の山々の氷河が源流)に何度も巨石を運び重機で河に埋め込んでも、また、苦心作のコンクリートの塊も水に流されてしまうハメに。そんな折、地元福岡の筑後川の山田堰にヒントを得て斜め堰を造ることを思いつき、ようやく用水路へ水を送ることに成功。
ここで少し脱線ー。映像でこの光景を見てから少し経って思い出した。筆者の地元にも有名な灌漑用水路、安積疎水(那須疎水、琵琶湖疎水と並んで日本の三大疎水というらしい。今世界遺産に登録申請中)があるし、また、実家近くに規模はそれほどでもないがその類いの灌漑用水路、江戸時代建造の小川江筋もある。大昔その歴史を学んだがすっかり忘れていて、今回ネットで調べてみてある発見がー。それは取水用に斜め堰を夏井川に造ったと書かれていたことだ。しかも非常に珍しく日本で現存するのは3ヵ所しかないという。また、小学校自分にはよく仲間と水浴びや魚獲りに出掛けた灌漑用水路、愛谷江筋もあった!そう、要は地元にも斜め堰があったことに触れたかったのだ。幼い時は生活圏の一部だったため、その役割の重要さと歴史にそれほど関心がなかったのかも。それがアフガンの灌漑用水路建設の話で見事に繋がったのだ。より身近になった。小川江筋は実家の菩提寺のすぐ前を流れていて、水かさが増したときなど流れが速く吸い込まれるようで一瞬怖くなる江筋(用水路)でもある。
さて、アフガンの話に戻そう。アメリカの同時多発テロ事件の報復でアメリカの攻撃を受けタリバン政権が崩壊、大干ばつなのに空爆を続けることに中村は信じられない気持ちになる。おびただしい戦争難民がー。アメリカ軍機が飛びかう中、中村と地元作業員(1日240円の日当。中にはアメリカの傭兵だった人も)の用水路建設は続いた。用水路沿いに護岸の役割を果たす柳も植えた。やがてマルワリード用水路が完成する。着工から7年、全長25km、砂漠が見事に緑の沃野に甦った。5つの村落10万人に恵みをもたらした。村人が帰還し、水田から実りの米を収穫、畜産も再開してチーズも作られた。そして市が立つまでに成長。

生きと生けるものが和して暮らしていけること、これが確たる恵みの証である。世界の片隅ではあってもこのような事実が目前に見えることに感謝する。(続く)

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超人の面白テレビ観賞 ETV特集「武器ではなく命の水を~医師・中村哲とアフガニスタン~」

北朝鮮がまたもやミサイルを発射して日本など近隣諸国を脅威に晒している矢先、今度は大型台風10号の到来で130人以上が死亡、負傷者も多数出て国際機関に支援を求めたと報道された。果たして国際社会から多大な支援を取りつけられるだろうか―。
ここまで書いて4日が過ぎた。ふと目にした記事に出会って筆を進める気になった。9月16日付毎日新聞夕刊のTBS報道記者・金平茂紀氏の「週刊テレビ評」だ。内容は心の渇き潤すNHK番組の見出しで、9月10日放送されたETV特集「武器ではなく命の水を~医師・中村哲とアフガニスタン~」を視聴した率直な感想を記事にしている。冒頭で近年NHKには手厳しい意見を言ってきたと書く金平氏。続けてこうも書く。目を覆いたくなるような御用記者が大手を振って御用報道を展開していたり、トップの放送人としての意見に大いに疑問を抱いたり、その周りの隷従者たちの姿勢に一定の感情を移入したりしたからで、一種の愛情の裏返しかも知れないとも。鋭く抉る記者魂が持ち味の金平氏なりの皮肉たっぷりな表現だったが、たまにはNHKも胸のすくような素晴らしい作品を見せてくれたとETV特集「武器ではなく命の水を~医師・中村哲とアフガニスタン」の番組を褒め称えたのだ。
筆者も眠たい目をこすりながらこの番組を見ていた。なかなかできないことをやっていると感動したのだ。平和貢献とはこういうものだと安っぽい、見かけだけの貢献が多い中、本物に出くわした感じだ。金平氏も内容について触れているが、筆者なりの内容紹介と感想を書いてみたい。
この映像は、100年に一度の大干ばつに覆われ苦しむアフガン、その東部地区、ガンベリ砂漠までの用水路建設に尽力する、医師・“土木技術者”であるぺシャワールの現地代表中村哲の15年にわたる貴重な記録である。最初は医師としてハンセン病等の感染症の治療にあたり、診療所つくりに奔走するが、やがて不衛生からくる感染症を無くすにはきちんとした水を確保することが大切であるとの考えに至る。そんな医療活動のなか、アフガンの大干ばつに出くわし、その窮状に見かねた医師中村哲は、用水路一つで100人分の医師の働きをすると確信し、用水路建設に着手する。(続く)

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超人の面白ワールドニュース ピックアップ ロンドンの最新パブ事情

下記はロンドンの最近のパブ事情。ビールの値上がり、ワイン飲みや家飲みが増え、しかも地価が高騰していて、1992年に67,800軒あった店が、2014年には4/1減少して51,900軒に。この時期でも人口は10%増加しているにも拘わらずだ。ロンドンのワンズワース特別区では廃業する店も多く、また、店のオーナーは自治体主導でスーパーマーケットやアパート経営に転換させられている、とかなり深刻らしい。
London Borough Raises Pints — And Legal Protections — To U.K.'s Fading Pubs
by Frank Langfitt

The British pub is as much a part of the fabric of the United Kingdom as fish and chips and the queen, but each year hundreds close their doors for good. The reasons include the high price of beer, more people drinking at home and rising land prices.

Now — in an apparent first — the London borough of Wandsworth has designated 120 pubs for protection, requiring owners who want to transform them into apartments or supermarkets to get local government approval first.

Chris Cox has been watching pubs disappear in Wandsworth since the 1990s, and thinks the new regulation is great. Cox, who's just polished off a lager at the Falcon, one of the protected venues, says pubs provide far more to this nation than just beer and atmosphere.

"A pub creates community," says Cox, who works in ergonomics and has lived in Wandsworth for more than three decades.

At a pub, he says, you develop a relationship with other patrons and the staff, who keep tabs on you: "If they don't see you, they will ask questions — 'I wonder where he is?' And you end up with a supporting network
Jonathan Cook, deputy leader of the Wandsworth Council, says one of the big reasons pubs are closing in this borough — just southwest of London's center — is because of the city's real estate boom. For some pub owners, it makes more economic sense to sell to a buyer who wants to build a mini-supermarket or apartments.

"What we're saying is, 'Well, hang on a minute — we've got an interest here as well. The community values the pub and you've got to factor that into the equation as well,'" says Cook.

Shuttered pubs litter Wandsworth. The door to the old Ram Brewery is sealed in concrete. Aluminum sheets cover the windows of the Prince of Wales. In 1992 there were 67,800 public houses in the United Kingdom, according to the British Beer and Pub Association; by 2014, the association estimates that number had dropped by a quarter to 51,900. During the same period, the country's population increased by more than 10 percent.

The association blames changing tastes, including the growth in wine drinking, and high taxes for boosting beer prices. But the organization, which represents major brewers and pub-owning companies, opposes Wandsworth's solution.

"This can create a certain amount of uncertainty for all businesses in the pub sector," said Neil Williams, a spokesman for the association. "It makes it very difficult for a pub operator to sell on a venue."

Cook, the Wandsworth councilman, says the 120 pubs the borough has designated for protection are all thriving businesses. He emphasized that Wandsworth is not interested in propping up failing enterprises, but doesn't want to see any more valued venues sold off for other uses without public input.

Unlike the British Beer and Pub Association, David Law thinks Wandsworth's new regulation is crucial for protecting pubs. Law leases and runs the Eagle Ale House, and hopes other jurisdictions across the country adopt Wandsworth's idea.

"We protect our museums, our art galleries and our libraries," says Law. "A pub is a very big institution in the U.K. So I would argue that we need to be helping them and make them flourishing. We don't need to lose anymore."

from NPR, Sept.13, 2016.

上記の記事を読んだあと、毎日新聞朝刊にアサヒビールの社長のインタビュー記事が載った。日本のビール消費量は人口減少も去ることながら、若者のビール離れや家飲みが増えて、居酒屋にサーバーを提供するなどあの手この手を使って市場維持を図っていると。イギリスのビール会社ミラー社を買収し傘下におさめて、欧州をはじめとして世界に売って出る戦略らしい。(2016.9.16 記)

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超人の面白セミナー参加  大学人会議主催 講師 : 吉見俊哉東大教授『文系学部廃止』の衝撃 : 大学はどこへ行くのか 続

追記2 谷川俊太郎(この詩人の業績と生き方にこそ大学とは?文系、人文知とは?を考えさせてくれるヒントがあるような気がする)の特集を読みたくて雑誌『考える人』(2016年夏季号。この雑誌は最近リニューアルしたみたい)をゲットしたら、対談形式のおもしろい連載に出くわした。40代の比較的若い人の対談で、人文学危機の問題を扱っている。題して“人文の理想と現実”。様々な事象を取り上げ、人文“知”(叡知の知)を探っている。対談は2回目で3回目まで続くらしい。1~3まで通して読んでみるつもり。文系の意義がもっと明らかになるはずだし提言があるかも。(2016.8.18 記)

追記3 大学の学部名が膨れ上がっている現状を皮肉たっぷりに“カンブリア紀爆発”と表現した講演者の吉見俊哉先生だが、一昨日関係者の発表ではまた一つ増えた格好。今度は横国大が50年振りに都市科学部と教職大学院を設置すると発表した。
そして、昨日文科省が一歩踏み込んだ大学入試改革に着手した。国語や数学は従来のマークシート方式に記述方式を加え、英語は「話す」、「書く」を重視し民間の実施している英語検定試験を受験させその結果を尊重する方針と発表。実施は4年後の1月時期と。これで入口の大学改革が更に進んだことになるかー。
(2016.9.1 記)

追記4 2016年9月5日付毎日新聞によれば、大学の個人研究費が年間50万円に満たないことが文科省の研究者約1万人を対象にした調査で判った。そしてさらに、国公立大学の方が私大より減る傾向が大きく、国立大学ではおおむね5割以上減っていると回答した人が24%に上ったという。収入源などによる大学の経営環境の悪化が要因の一つでまた、特に国立大学では主な原資となる運営交付金が過去10年で10%減少しており、その影響が大きいといわれている。これでは大学が劣化していると思われても仕方がないような気がする。平和国家日本を標榜するなら、防衛費を減らし、100年の計をはかるべく教育にもっと予算を投入すべきだろう。(2016.9.9 記)

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