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2016/08/19

超人の面白セミナー参加  大学人会議主催 講師 : 吉見俊哉東大教授『文系学部廃止』の衝撃 : 大学はどこへ行くのか

今リオオリンピックが開催中。15日現在、日本は金7、銀4、銅15、あわせて26獲得。代表選手の予想以上の活躍で夏休みの日本では、メディアに釘付けされて眠気もそっちのけの状態が続いている。特に水泳、柔道、体操の競技では複数のメダルをゲット、テニスや卓球それにカヌーでも大躍進している。苦手な陸上でもやがて躍進が期待できる選手が出てくる予兆も。バレーボール、バドミントン、レスリングなどメダル獲得にむけて後半戦が楽しみの競技もある。今回のリオオリンピックでは水泳の萩野選手の金、体操の個人総合で逆転劇を演じて金メダルをものにした内村選手に刺激されて日本の他の選手も発奮した結果、メダルラッシュが起きたのだろうと勝手に想像したくなるほど。いや、コーチや監督の指導力の賜物だろうか。(重量上げの三宅選手や競泳の金藤選手に顕著)そういった場面がメディアを通じてクローズアップされたオリンピックでもある。

ところで、スポーツ教育を含めた高等教育、さしずめ大学の文系廃止問題がここ一、二年話題になっているが、そんな折知り合いのM氏に誘われて80数回も続いているあるセミナーに参加した。下記はそのときに取ったメモ。

Img083_2

2016年8月2日、霞が関ビル35階で開催されたセミナー。
NPO大学人会議主催「文系学部廃止」の衝撃 : 大学はどこへ行くのか
講師 :吉見俊哉(東京大学大学院情報学環 教授)
パワーポイントを使って説明。
【写真 : 当日会場で配布された資料】

まずは自著の宣伝から。
『大学とは何か』(岩波新書)、『文系学部廃止の衝撃』(集英社新書)の紹介。会場にいた23名に回覧された。『大学とは何か』のページを捲っていると、GHQ先導の戦後教育改革、“教育刷新委員会”の南原繁の話も出てくる。
集英社文庫の『文系廃止の衝撃』については自説を展開し、独創的な概念も導入されている。

はじめに言っておきたいことは、この問題に対してメディアの取り上げ方がエスカレートしていたこと。実は2015年6月8日の通知の前に、2015年8月に文科省は同じような文言で声明を出したが、メディア等の反応がなかった。
それは当時の政治状況が安保法制に揺れていた時期だった。それが約10ヶ月後に再び出した文系廃止の声明をメディアがキャッチ、波紋を広める羽目に。最初は産経、文科省が通知を出す前の5月、これははっきり言ってフライングと講師の吉見教授。ついで朝日他追随。

文科省にも問題があるが、マスコミの報道にも問題が。エスカレートする報道に。
一般社会にも「理系は役立つ、文系は役立たない」の風潮がある。
教養教育の崩壊?大学院生の凡人化?国立大学の企業化? 質の低下ー。
揺り戻し➡名大、教養復活
ICUの例。
学部学生の方が大学院生のよりレベルが高い。
※昨日(8月1日)会った早大の非常勤講師を務める専修大学のN先生も同じようなことを言っていた。

戦後の大学の数の推移。
1945年➡48
1950年➡201
1960年➡245
1970年➡382
1980年➡446
1990年➡507
2000年➡649
2008年➡785

質の低下(志願者マーケティング)、グローバルな大学間競走➡世界大学ランキング
アメリカの大学数➡2500
日本型大学体制の限界
➡大学ランキング➡人の奪い合い。
学部名のカンブリア紀爆発
1975年➡69種類
1990年➡97種類
2000年➡235種類
2010年➡430種類
2015年➡464種類

「化粧」して「客」を引く。
大学へ行くこと自体の価値劣化➡再び大学を襲う改革の嵐。教授たちの疲弊、管理者、研究者、教育者の一人三役をこなす。

「文系」は役に立つ➡役立たないけど価値がある?
地球社会のために「役に立つ=効果をもつ」は必要。

「役に立つ」とはどういうことか?
目的遂行的(=手段的有効性)
価値創造的(=価値反省的)
価値創造的、変化する多元的な価値の尺度を視野に入れる。
・理工系=役に立つ(3年~5年)
・文系=長く役に立つ(20年~1000年)
創造的破壊→いま当たり前のことを批判すること。
価値観。オリンピックの例。
「文系」とは何か?「人文学」と「社会科学」。
中世のヨーロッパ→「神学」「法学」「医学」と「リベラルアーツ」「哲学」。
・国民国家と人文学の誕生
・産業革命と「自然科学」対「社会科学」
リベラルアーツ(教養)と人文社会科学(文系)
文法学、修辞学、論理学、代数学、幾何学、天文学、音楽学。

・教養 一般教育 共通教育
・スキル教育 ・コンピテンス ・活動能力。
19世紀→文系と理系の区別→産業革命
産業革命と人文社会科学の成立。
産業革命→自然科学支配と人文社会科学の成立
「価値」への注目→マックス・ウェーバー社会学への決定的影響。
意味/価値の問題
「文(主体)」「理(客体)」の境界の曖昧化(21世紀)。

視点の違いー文系理系の融合
価値を見いだす、価値の転換→文系的な知。

甲殻類 脊索動物への進化。

5つの壁を越える
入試の壁、就活の壁、学年の壁、学部の壁、言語の壁。
ボーダーレス時代、グローバル時代、持続可能な社会。
大学の再定義←縦横の横断→21世紀の宮本武蔵を育成する、二刀流のすすめ。壁の溶解。
各分野における専門教育×諸分野の横断・融合。
文系重点型学際人/理系重点、複合的。
グローバルな課題と地球社会の価値創造。

人生で3回大学に入る。
18才、30才、60才。
アメリカに比べれば日本の大学には
社会人学生が少ない。

高校・大学の一貫も視野に。
入試があって非常に難しいが、繋ぐことが大事。
現状の大学の劣化。
文理融合の複眼的な学び
→教育において文系理系を組み合わせて学ぶこと→これが講師の結論、まとめ。
講演時間約120分(午後2時~午後4時)。

パワーポイントの文言を追えないところや聴き漏らしもあって不完全だが、以上がメモのあらまし。賢明な読者諸氏はこのメモから講演者の意図を読み取ってほしい。

この示唆に富む話は今後の大学問題を考えるとき、上述の講師の著作とともに筆者には大いに参考になる。実学か教養か、教養も実学も、大学は厳しい運営面を含めてあり方が問われている。

格差社会が顕著になっている昨今、昨日(8月14日)の日経新聞の対談でも学生の奨学金支給の改革(経済的理由で大学進学困難者や大学在学者向けに奨学金の枠を広げ、貸与型→給付型への改革推進)も緊急の問題として提示されてきている。

追記 「文系廃止」など関連の文化講演会が、クロスカルチャー出版主催で 光本滋先生(北海道大学準教授/高等教育論)を講師に迎えて7月9日に開催された。その講演レジュメと関連記事を読むはこちら→
レジュメhttp://cpc.la.coocan.jp/20160715171411.pdf

関連記事http://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2016/05/10-dd04.html

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