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超人の面白読書 122 雑誌『中央公論』最新号( 2016年2月号)を読む

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去年6月8日に文科大臣が全国86の国立大学長宛に通知した内容がマスコミにも取り上げられ波紋が広がっているが、雑誌『中央公論』の最新号(2016年2月号)は、国立大学文系不要論を斬る、のタイトルでこの問題を特集している。目次を読むと次のようだ。学長アンケート にみる大学の悲鳴 一“省”功成りて万骨枯るー竹内 洋(教育社会学者)、文科省・企業にこれだけは言いたい !55国立大学 学長アンケート[ 編集部の設問 : ①人文社会科学系軽視とも批判されている文部科学省の6月の通知をどう受け止めましたか。②近年、大学への運営交付金を減らされる中で、予算配分が理系重視になる傾向にあります。これからの国立大学は理系を重視すべきでしょうか。文系はどうあるべきと思いますか。③少子化、財政難という状況下で、大学、学部の統廃合など、『集中と選択』を進めるべきであるという声もありますが、どうお考えになりますか。また、貴大学は、この問題でどうあるべきと思いますか?④学長は理系、文系、どちらがご専門ですか?理系の場合は文系科目、文系の場合は理系科目を勉強したことがありますか。理由もお聞かせください。⑤文科省にこれだけは言いたい、ということがあればお書きください。⑥即戦力の学生を求める企業にこれだけは言いたい、ということがあればお書きください。] 世界水準でがんばる大学、特定分野でがんばる大学、地域貢献でがんばる大学(この雑誌ではすでに大学の役割別に配列している : 筆者注)、「世界」に認められたければ文系に集中投資せよー佐和隆光(経済学者・滋賀大学長)、世界的趨勢としての人文社会科学危機ーエドワード・ヴィッカーズ(東アジア史・教育学)、実学・虚学・権威主義ー学問はどう「役に立つ」のかー猪木武徳、文部科学大臣インタビュー 「国公私立大学の枠を超えた統廃合も視野」ー馳 浩 。
竹内 洋は、アンケートを読んでの感想で「上からのビジネス的大学改革が猛威をふるっているときに、『特になし』や空欄がこれだけあるのは不思議に思える」と書き、「『手術(大学改革)は成功したが患者は死んだ(大学人のモラル・ハザード)』ということにならないか。これまでの大学改革そのものの功罪評価をしなければならないときにいたっていると思う。」とも述べている。筆者の学長アンケートの読後感では、学長間に温度差があることが分かって興味深かったが、また、大方の学長が理系出身者で占められていることに多少驚いた。そして、竹内 洋が指摘しているように運営交付金削減に対する悲鳴があがっていることも分かった。大学の学長はこのまま削減されれば高等教育の崩壊につながると危機感を募らせている。より良い人材を育成し社会に送り出すにはむしろもっと予算をつけてほしいということだ。

九州大学のエドワード・ヴィッカーズ准教授は、この特集に寄せて中国の物理学者の言葉を最後のほうで引用している。「中国の物理学者方励之が、1989年の天安門事件の際に国外脱出する前に『我々人民、そして実は政治家たちも、科学が文化の一種だと気がついていない。科学を、単純に何か、例えば電灯を修理するようなものだとしか捉えていない。その背後にある思考システムを理解していないのだ』と嘆いた。」文系理系の問題を考えるときより深い言葉だ。

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