« 超人の面白読書 121 『三田文学』冬季号 2016年2月号 西脇順三郎特集を読む | トップページ | 超人の面白読書 122 雑誌『中央公論』最新号( 2016年2月号)を読む »

超人の面白読書 121 『三田文学』冬季号 2016年2月号 西脇順三郎特集を読む 続

それをいくつか拾うとこうだ。まずこれは澤先生も言及していたかも知れないが、時代が西脇詩に近づいてきたという認識(大概の人が言い始めている)、吉田一穂(その昔よく読んだ!)とは生活の困窮と裕福とを超えたところで一致、垂直的なイメージ、絵画は決して上手いとは言えないが絵と詩の両方での営易がある、柳田国男は実は慶応に来るはずだった(これは初耳)、吉増の西脇との出合い、雑誌『幻影』20号に掲載された村田美穂子の西脇詩に出てくる色を調べ数値化(109の色)し、「西脇順三郎の色づかい」のタイトルで発表、アプローチが斬新だと、詩人田村隆一が『アンバルワリア』のワインレッドの装丁にショック受けた話(早稲田の本屋での有名な話)、西脇の崖(小千谷にある、なかなかそれなりの絶壁感もある)、西脇の光源体➡折口信夫、柳田国男、井筒俊彦、瀧口修造、岡田隆彦(筆者はこの詩人兼美術評論家を好んだが残念ながら若くして亡くなってしまった)、日本的霊性、心細い人、魔と妖などなど。新発見もあって面白かった。で、聞き手の『三田文学』の編集長若松英輔著『黎明の詩学-西脇順三郎と井筒俊彦』も興味のあるところ。荻野アンナの「旅人かへる」─西脇順三郎へのオマージュは、さすが言葉遊びや駄洒落好きの学者(ラブレー研究者)らしく、自由闊達な連想ゲームさながらのエッセイだ。面白い、最後の言葉が。しかしあなたは職業としては神様であった。次に西脇順三郎といえば英文学者のこの人、新倉俊一氏の帽子にまつわるエッセイ「西脇先生と詩人の帽子」、小千谷市立図書館元館長の新野弘幸氏の「西脇順三郎記念室について」(西脇順三郎が持っていた幅広い洋書などが一同に見られて極めて貴重。西脇順三郎に関するテレビ放映も示唆)、詩人新井高子氏の「西脇順三郎という『愉快』に憧れて」、樋口良澄氏の「沈黙する詩人―西脇順三郎と鮎川信夫」(戦後の文学は戦前の文学を読み直すことが必要と説く元詩誌の編集者)。この雑誌の編集後記は今回の特集を振り返って次のように書いている。「西脇順三郎に秘められているものは未だ、十分に解き明かされていないというのが、この特集の通奏低音だったように思われる。西脇は井筒俊彦を教えたが、原民喜も彼に学び、影響を受けた。」筆者は一読したあと、次ページの広告に異常に惹き付けられた。井筒俊彦全集 第12巻 アラビア語入門である。“井筒学”は“西脇学詩”ともども益々光彩を放つと思うのだ。この点についても我らの澤先生に訊いてみたいところだ。

|

« 超人の面白読書 121 『三田文学』冬季号 2016年2月号 西脇順三郎特集を読む | トップページ | 超人の面白読書 122 雑誌『中央公論』最新号( 2016年2月号)を読む »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/77059/63064087

この記事へのトラックバック一覧です: 超人の面白読書 121 『三田文学』冬季号 2016年2月号 西脇順三郎特集を読む 続:

« 超人の面白読書 121 『三田文学』冬季号 2016年2月号 西脇順三郎特集を読む | トップページ | 超人の面白読書 122 雑誌『中央公論』最新号( 2016年2月号)を読む »