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クロカル超人が行く 179 世田谷文学館「詩人・大岡信展」

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秋晴れの文化の日の今日、芦花公園にある世田谷文学館に足を運んだ。今12月6日(日)まで「詩人・大岡信展」が開催中だ。前から三島市に出来た「大岡信ことば館」に行ってみたいと思っていたから、比較的近場での開催はありがたい。

花 Ⅱ


花もまた 物質であり
物質であることによって
宇宙の輝かしい突起となる

私は精神をもっていると信じている
けれども私の精神はもっていない
花や葉っぱの純粋な形態を

光 水 空気 土
花の形態を展開させるために
宇宙はそれ以上のものを必要としなかった


「水の生理」1960─1967


約2時間たっぷり編年体で織り成された大岡信の詩宇宙に遊んだ。三島・沼津での幼少期と初期の同人誌など、一高時代(仏文で担当教官は寺田透だった)の雑誌に参画(仏文学者の渡辺一夫に原稿依頼した校内文芸誌の現物も陳列)、東大時代(国文専攻)、卒論は「夏目漱石論」(現物陳列)、詩を書く傍ら「ポール・エリュアール論」(現物陳列)など詩論やシュールリアリスム研究も。読売新聞記者から大学教員時代へ。その間に「櫂」など詩誌(現物陳列)に参画、書肆ユリイカの社主(詩集の刊行など)や南画廊の店主(コンセプショナル アートや現代美術の紹介者)、加納光於、武満徹などの画家や音楽家との出会い、連詩連句の実作と海外での講演、数々の詩集や詩論の本、折々の歌の原稿やバリエーションのある書籍等々が展示・展開されている。何よりも目を引いたのは上梓した本はもちろんのこと、数多く展示されているノートに万年筆で綴られた“詩稿”の類いだ。細字で細かいが整然と書かれた詩片など大岡信の几帳面な一面、とりわけ詩の“源泉”を読みとれるほど。筆者的には大岡信が指摘した西脇順三郎の萩原朔太郎との交友関係疑惑について西脇順三郎が大岡信に送った手紙の文章や懐かしい書肆山田(当時の山田耕一社主とは大分親しかった)刊の書籍に魅了された。雑誌『詩学』に載った大岡信の西脇順三郎論も大変興味あるところ。その昔文学研究者だか作家だったか、それとも、知人の読書人だったか忘れたが、大岡信の評論はみんな誉めすぎでほんわかしていて面白くないと言っていたが。さて、本当だったか。それはさておき、読書量と幅広い知識は相当なものだ。ここにディスプレイされている有名な詩は一つひとつ読んだ。昔読んでいたものが大半で、ほとんど忘れかけていたが、蘇ったのだ!あの大岡コトバが。同じコトバでイメージを脹らませることが得意で、ナンセンス語も散りばめられている。ここではひらがなの多用が効果的で、やわらかく、自由にのびやかに詩群が遊泳し戯れているのだ。これこそ大岡信の真骨頂だ。ナンセンス詩と言えば、谷川俊太郎だが、彼は大岡信詩の最大の理解者で良き伴走者だ。対談で詩の分析となると、いつもその辺は大岡に任せますと言っていた…。作家北杜夫のユーモアに溢れた手書きの某共和国の表彰状も面白くて思わず二度読んでしまった。大岡信が飲むと大変で、さらに飲み過ぎると訳の分からないフランス語が飛び出す始末と。ビデオ鑑賞では晩年の自宅の様子が写し出されていたが、その書棚は何と筆者のものと同じだった!その書棚は某先生から譲り受けたもので、今仕事場で光彩を放っている。今度は三島行きを決行する番だ。世田谷文学館の館長はマラルメ論などで有名な仏文学者の菅野昭正氏で、話題性のある企画を次々と打ち出している。
もうひとつ面白いことを発見したことをつけ加えてこのコラムを終わりたい。賢明な読者諸氏は、昨日世界ラグビー世界大会でニュージーランドが優勝したことはニュースで知っていたと思うが、日本も強豪南アフリカを破るなど大活躍し世界が注目したことは記憶に新しい。その中心メンバーでユニークな“祈り”のポーズでキックした、今やすっかり有名になったラガーマン、太郎丸歩氏(たった今入ったニュースでは、彼はオーストラリアのラグビーチームに移籍したと伝えた)がいる。詩人・大岡信の近況を写し出したビデオに登場した品のいい愛猫の名前が何と“太郎丸”だった!これは偶然にせよGREAT MARU⭕

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【写真左上: 館内で唯一撮影できた会場入口。 写真左下: パンフレットの一部。 写真右下: 似顔絵の判を4ヶ所、パンフレットに押して悪戯書きしたもの。最初は記念の判押しだったが、左下がかすれてしまって再度判をポンポンと押したらユーモラスなものに。偶然の産物】

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