« 超人の面白時事 国立大学通知の波紋 3 | トップページ | 超人の面白ラーメン紀行 208 小田急・相鉄線海老名駅『富山ブラックラーメン いろは』 »

2015/10/22

超人の面白時事 国立大学通知の波紋 4

この記事を3まで書いて9月の終わり頃の馳浩新文科大臣の話(「通知」の文章力は32点だと言っていた)を書こうと思っていた矢先、昨日国立大学に新たな動きがあったことをマスコミ(毎日新聞夕刊やNHKの夜のニュース)が伝えた。それらの報道によると、33国立大学で組織の見直しを計画、人文社会科学系がある60大学の半数以上に上ることが分かった。もちろんこれらの大学には運営交付金がつく。各大学の16年度以降の6年間の中期目標・計画の素案が文科省の専門分科会で示されたのだ。組織の廃止を予定しているのは教員養成系学部のある9大学。これで国立大学の文系学部の組織改編が一気に進むことになる。年度内に文科相が各目標を決定し、計画を認可する。組織見直しの大学の例として次の大学が揚げられていた。宇都宮大学では国際学部、工学部を改組し、16年度に地域デザイン学部を新設、愛媛大学は法文学部を改組し、社会共創学部を新設、横浜国立大学は教育人間科学部人間文化課程を廃止し、学校教育課程のみの教育学部に組織改編、滋賀大学はデータサイエンス学部・研究科を新設など。中期目標・素案の数値目標の内容は、外国人留学生の受入数・比率、女性教員数・比率、外部資金獲得額・採択数など。各大学・学部の強みや役割を整理するため、専門分野が細分化している社会科学系の改組や教員養成系の新課程の廃止を求める意図だったが、人文社会学系にも廃止を求めるように読める文面だったことから、学術界などから「文系軽視だ」と反発が起き、文科省は「文書ミスだった」と認めている。以上が2015年10月20日付毎日新聞夕刊の一面「国立大学 文系見直し」の記事のあらまし。一方、NHKではこの改編について学生にインタビューを試み、彼らの戸惑いの表情を取材していた。また、偶然手に入れた雑誌『塾』(AUTUMN 2015 NO.288)の巻頭エッセイで、慶應大学常任理事が書いていた文章が目を引いた。少し引用してみよう。

最近文部科学省が文系学部の整理統合の方針を発表しましたが、グローバル化時代にこそ独創性を養う文理融合の教育が必要です。理工学部の前身である藤原工業大学は昭和14年、塾員で王子製紙の創業者藤原銀次郎が私財を投じて設立し、小泉信三塾長が学長を兼任、初代学部長には東京帝国大学教授・海軍造兵中将谷村豊太郎が就任しました。藤原が「すぐ役に立つ」人材を造れと要求すると、谷村はすぐに役に立つ人間は「すぐ役に立たなくなる」と応酬した話は有名です。開学式で小泉は、人文科学の発達の伴わない技術学の発達は時として有害でさえあると強調し、学部長就任式で谷村は、大きな建築には大きな基礎工事がいるように、技術家として大成するには人文学を含んだ学習が必要だと述べています。帝国大学が生んだ「官」の人谷村と福澤の膝元で育った「民」の人小泉が教育観を共有していたことは興味深い事実です。

なかなか示唆に富むエッセイだ。目先だけを追っていてはいつになっても何の抜本的な解決にはならない。今年の日本人のノーベル受賞者の一人、生理学・医学の大村智・北里大学特別栄誉教授は地方の大学出身者だ。地方の大学の活性化も充分に視野に入れた文教施策を望みたい。世界の大学ランキング上位入り(今年のTHEのランキングでは東大が43位と去年よりずっと後退。シンガポールの大学よりも下。またガラ系!)がすべてではない。所詮アングロサクソン系のランキングなのだから。それよりは文系理系問わず大学の質をあげることが最も大事な要件なのだ。文系をなくせと誤解を招いた文科省の役人の文章力こそ文系の存在を明確にさせたものはない。皮肉な結果である。まずはお膝元からの意識改革が必要だろう。それと矛盾するようだが、大学の学費が高すぎる。何とかならないものか。

« 超人の面白時事 国立大学通知の波紋 3 | トップページ | 超人の面白ラーメン紀行 208 小田急・相鉄線海老名駅『富山ブラックラーメン いろは』 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 超人の面白時事 国立大学通知の波紋 4:

« 超人の面白時事 国立大学通知の波紋 3 | トップページ | 超人の面白ラーメン紀行 208 小田急・相鉄線海老名駅『富山ブラックラーメン いろは』 »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30