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超人の面白読書 102 キャサリン・サンソム著 大久保美春訳『東京に暮す』 8

日本人の人生について。

日本の鎖国はヨーロッパの近代思想の誕生期にあったため、日本は科学の新しい知識を知ることなく、日本以外の国で行われていた、本や会話を通じての啓発的な意見の交換に参加することもなかったというのは学者の指摘するところです。しかし、時の流れで日本の体制もついに内側から崩れだしましたが、まさにこの時期にアメリカとヨーロッパが外から圧力をかけてきました。ついに日本が外国の評価を受けることになったのです。従って日本人は心理分析が下手です。日本人はねじやねじ回し、汽車、電話といったもの(原文はものに傍点)に夢中になるので、精密科学においては、過去何年間も世界のトップレベルにあります。けれども、基礎科学には興味はないか、あったとしても研究はあまり進んでいません。世界の国々がお互いを理解するのは難しいことです。何世紀にもわたる内部紛争、植民地化、文化交流等を経験してきたヨーロッパを日本人が正しく理解できないのは当然です。日本人の方は、持ち前の感受性の強さから、認めてもらいたいと強く望むあまり、かえって誤解されます。日本人は、様々な人種、国籍の外国人が一体どのようなタイプの人たちで、どのような反応を示すかということについては漠然とした考えしかないので、彼らに向かって自分たちのことを説明するのがあまり上手ではありません。それに繊細な心の持ち主なので、批判されるとひどく傷ついてしまいます(本文P.151-P.152)。

日本人とイギリス人について。

日本人とイギリス人の基本的な類似点は派手よりは地味を好むこと、静かで落ち着いた態度を好むということです。そうでないイギリス人もたくさんいますが、私たちが理解し尊敬する性質や行動の基準と、日本人がよいと考えるのはとてもよく似ているのです。従ってお互いに信頼し合うことも困難ではありません。控えめな方がいいということで、時にはひどく退屈なこともあります。しかし、私たちはどうも危険より退屈を好むようです(本文P.201-P.202)。


日本アルプス行について。

ここでは保養地の温泉での実際に入浴体験をしたことが綴られている。
大きな旅館には、広い男女共同風呂が一つと、少人数のグループのための小さい風呂が二つほどあります。もう少し規模が小さい休養地では、男風呂と女風呂が、一応一つずつあると言っておきましょう。というのは二つの風呂がつながっていて仕切りがないため、他の客に迷惑にならない時には、男たちが妻や子どもたちの方へ行って一緒に湯につかるからです。
浴場でも日本人特有の細やかな心遣いが観察されます。私たちが入っていくと、外国人の女性ということで、家族と一緒に女風呂にいた2、3人の男性がそっと男風呂の側へ戻って行きました。あわてふためくこともなく、ごく自然です。温泉旅館の共同風呂には気取った人などいませんから。
有名な保養地の大浴場で嬉しい思いをしたことがあります。主人と私が石けんを持ってくるのを忘れて困っていると、ほっそりとした美しい日本人の女性が浴槽の向こう側に行って石けんを取ってくれたのです。
日本人の女性というのは実に素晴らしい人たちです。正しいやり方で風呂に入れば、私たちも日本人の仲間入りが出来ます。それには、まず浴衣を脱ぎ、片手に石けんを持ち、男性用ハンカチ2,3枚の大きさの手拭で腰の部分を隠して浴室に入ります。浴室はすべて木で出来ています。壁に取り付けられた管の中を流れるお湯が、何本かの細い管に入り、しゃがんだり小さな木の椅子に腰かけたりして、石けんを一滴残さず洗い流すことができます。湯舟のお湯はとても熱いので、こうやって体を暖めておくといいのです。
いよいよお湯の中に入ります。ゆっくり体を沈めていくとなんと気持ちが良いのでしょう。私たちが外国人なので、湯舟の中にいる女性がたちが微笑んで会釈します。恐る恐る湯の中に入り、顎がお湯につかるまでゆっくりと体を沈めていく私たちの姿が、日本人には滑稽かもしれません。
鉱泉の性質や体がどの程度熱さに耐えられるかに応じて、お湯から出たり、入ったりします。絶えず湧き出ている温泉に、美しい体で動作も優雅な日本人女性と一緒に入ることは、最も素晴らしい体験の一つで、本当の贅沢といえます。日本人女性の動作はとても控え目でかつ優雅なので、入浴自体が一つの完成された技のようです。荒っぽい動きや無駄な動きは一つもありません。すべてが見事で、ゆったりしていて、優雅です(本文P.217-P.220)。

日本の女性について。

女性が男性と対等な立場に立つようになれば、日本人の生活はもっとずっと豊かになり、分別のある自己批判が出来るようになるはずですが、日本の女性が男性に従属しているからといって、他の国の場合のように必ずしも不幸であるとは限りません。事実他の多くの東洋や西洋の国々と比べても、日本は非常に住み心地がよい国ですし、日本の文明は立派で健全ですから、人間関係をもっと近代化しても大きな混乱が生じることはないでしょう(本文P.253-P.254)。


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