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超人の面白読書 94 木村誠著『危ない私立大学 残る私立大学』 4

3の続き。高校の先生が勧める大学ランキング。金沢工大、立命大、中央大、同志社大、立教大、上智大、津田塾大、愛知大、武蔵大、成蹊大、学習院大、関西学院大、南山大、関西大、青山学院大、明治学院大、立命館アジア太平洋大、東京女子大、同志社女子大、東北学院大、中村学園大、法政大、専修大、京産大、京都女子大、近畿大、芝浦工大、崇城大学、中京大、ノートルダム清心女子大、佛教大、松山大、美作大だ。
危ない私立大学の要因はいくつかあるようだが、その一つに1980年代以降「公私協力方式」が生まれて私立大学が増加したことだと著者は書く。公私協力方式とは、自治体が敷地を提供したり補助金を出したりして、地元に私立大学を誘致し私学法人に経営を任せる方式をいう。また地元の短期大学法人の4年生移行を財政支援する形もある。少子化は着実に進行していたにもかかわらず、1982年以降、公私協力方式の私立大学数は、実に約130校、現在の私立大学の約2割を占めると言われている。(本文P.170〜P.170)
公私協力方式の小規模新設私立大学は、志願者が減る一方となり、半数近くが定員割れらしい。募集力の劣化がサバイバル度が低い原因と言われ、地元の高校などへのPRが欠かせないと解決策を提示している。
いずれにしても、人口減少にフィットした大学のあり方が求められている。要は大学数が多いのだ。大学間のニュースとニーズをいち早く正確にキャッチして、相互のメリットを活かした大学間の救済合併が必要になって来るだろう。残る私立大学も試練を強いられる時代である。小手先の改組程度では先行き不安なはず。行政側の文科省の果たす役割も重要だろう。最後に本書の巻末に大学評価の指標を掲げているので、それを記して本書の書評を締め括りたい。

【研究水準】
論文引用度指数、科研費配分額、大学院進学率、外部資金の額と内容、教員の研究レベル、卒業論文、ゼミ論文の重視度
【教育力】
FDの実施状況、PBLの実施状況、リメディアル教育の実施、授業評価の運用、中退率、卒業率
【大学生活】
学生相談制度の充実、奨学金制度の充実、学生寮や福利厚生施設、サークル、体育会の施設、国内・海外留学制度、外国人留学生との交流
【就職率】
キャリアデザイン教育、就職指導の多面的展開、国家(公的)資格取得率、離職者のアフターケア

追記。今日の毎日新聞のコラムは文科省が「大学改革実行プラン」を表明し「学ぶ意欲と力を測る入試への転換」を掲げたと書き、具体的取りかかりそうだとコメントしている。(2012年6月19日 記)

追記2。世界139カ国・地域の2400校が導入している大学入学資格取得に必要な教育課程「国際バカロレア」について、文科省は国内で広げることを決めたと6月19日付毎日新聞夕刊が報じた。グローバル人材の育成が目的。現在インターナショナルスクールなど23校が実施しているが、5年後に200校 に増やす計画と。また、教科の日本語での実施も考えるという。
国際バカロレア⇒16歳から19歳の2年間、言語、数字など6科目を学ぶ。修了試験に合格すれば大学入学資格が得られる。1968年にスイスで発足した国際バカロレア機構が導入校を認定するシステム。以上毎日新聞夕刊から。(2012年6月21日 記)

追記3。「私大閉校 反発広がる 東京女学館 大学募集停止へ 少子化で定員割れ拡大」の見出しが昨日の毎日新聞夕刊社会面を賑わしていた。この小中高は名門女子高校で、2002年に短大を母体として開校、毎年定員割れが続いていたという。来年度から募集停止し、在校生264人が卒業する4年後に閉校する。保護者と卒業生有志が「存続させる会」を結成して署名活動を続けている。こういうことがこれからも起こり得るはず。より健全な大学経営が求められるが。(2012年6月22日 記)

追記4。大学問題はもはやドラマ化の様相。また役者が登場し物議を醸し出したのだ。野田政権の内閣改造で田中真紀子文科省大臣が誕生(先の内閣では旦那の田中氏が防衛相を首になったばかりなのに)、大学設置認可問題で内定を覆し短大から四大に衣替えする札幌保健医療大、秋田公立美術大学と岡崎大学の3大学を不認可の裁定を下したのだ。(2012年11月8日 記)
ところが、二三転した後、今度は認可に転じた。どうなってんの?田中真紀子文科省大臣は許可したものの、審議会のあり方を見直すという。少子化にもかかわらず大学が増え続けている一因は、文科省が20年以上前に設置基準を緩めたことだ。当初はそうすることで淘汰していくと文科省側は読んだが、現実的には大学は増え続けた。やはり長期的な高等教育に関する制度設計が必要だろう。レベルの低下他問題は山積している教育だが、入試制度や高校教育のあり方も考えなくてはいけない時期に来ている。(2012.11.12 記)

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