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超人の面白読書 93 田中慎弥著『共喰い』 7

選評の続き。『共喰い』の中心にあるのは、父を乗り越えてゆく息子の、ありふれた物語。古典的なテーマでありながら尚、新鮮な力で読み手を引っ張るのは、父親でなく、彼女たちの生命力あふれる手と、義手なのだ。(小川洋子)『共喰い』は女を殴らずにはいられない父と子の物語だが、全編に流れる下関の方言と緊張度の高い地の文が、リズミカルに交錯しており、叙事詩の格調さえも漂わす。(島田雅彦)何物かへの鬱屈した怒りのマグマの依って来たる根をもっと具体的にしなければ、肝心なところから腰が引けていることになるのではないのか。(宮本輝)戦後間もなく場末の盛り場で流行った「お化け屋敷」のショーのように次から次安手でえげつない出し物が続く作品だが、読み物としては一番読みやすかった。(石原慎太郎)

毎日新聞5月文芸時評(2012年5月30日)で文芸評論家の田中和生は、「戦争」や「父」の姿は戦後文学では描かれたことがない、新鮮な感触なもの、と最新作「夜蜘蛛」(『文学界』)を評価している。
田中慎弥の上記以外の作品は次の通り。

・図書準備室
・冷たい水の羊
・不意の償い
・蛹
・切れた鎖
・神様のいない日本シリーズ
・犬と鴉
・血脈
・聖書の煙草
・実験
・汽笛
・週末の葬儀
・第三紀層の魚
・田中慎弥の掌劇場 
・燃える家

新潮新人賞、川端康成文学賞、三島由紀夫賞の受賞歴。作家歴20年。芥川賞後の記者会見で一躍注目されたキャラの持ち主でもある。筆者的には彼の短編をもう少し読んでみたい。

追記。作家田中慎弥についての新聞記事を5月15日付朝日新聞「文芸/批評」それに6月6日毎日新聞夕刊「新幸福論 生き方再発見」で読んだ。ただ書くだけと一言、“帰ってきた文士”のような趣・・・。(201206.8 記)

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