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超人の面白読 93田中慎弥著『共喰い』 5

この物語は後半思わぬ展開をみせる。推理小説さながらの場面展開だ。前妻の義手の仁子さんが、遠馬の父親を殺してしまうのだ。遠馬の恋人の千種を犯した腹いせか、はた自分の息子でもある恋人を弄んだことへの怒り狂った感情がそうさせたかは行間を読み取る他ないが、社近くで父親の身体に義手が刺さっていたのを遠馬が目撃して判明するのだった。後は警察での事情聴取、刑務所行きのお決まりのコース。罪を犯してしまった仁子さんと主人公遠馬との会話は何もかも吹っ切れたのか、サバサバしたものだった。そして物語はあっけなく終わるのだ。
面会に来た遠馬の気遣いの言葉、
「差し入れ、出来るみたいやけど、ほしいもん、ない?」
仁子さんが、
「なあんもない。」
生理用品は拘置所がくれるのだろう、と遠馬は思った。

400字詰め原稿用紙で100枚位の短編だが、濃厚な文体、古風な言葉使い、地方性、血縁、性とテーマやストーリー展開が予め構想されていたと思われる。と同時に、妄想、妄想狂がこの私小説的短編を書かせた、とも思えるのだ。作者は書き終えて霧が晴れた感じを抱いただろうか。いや、賞取りレースに躍起になっていたかも知れない。下記は選考委員の評である。ちょっとその前にー。(続く)

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