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超人の面白読書 93 田中慎弥著『共喰い』

第46回(平成24年上半期)芥川賞受賞者は田中慎弥氏。彼は受賞後の記者会見で人を喰ったような発言で大いに話題を提供した人。彼の受賞作品『共喰い』を「文藝春秋」抜粋版(筆者自身の手作り簡易製本)で読んだ。ここ2、3ヶ月間鞄に入れたままだった。実はその前に2冊読む本があったのだ。
『共喰い』は思春期の性を赤裸々に描き出した短編私小説である。しかも軟らかな下関弁を巧みに挟み込むことによって、より豊かなイメージを鮮明に打ち出したローカル小説だ。肉欲に長けた親子、スキモノ同士の戯れだが、水際の陰湿なイメージに特有な軟体生物をセッティングさせるあたり、連想ゲームを際立たせ、粘着かつ濃厚な世界を構築している。それは水、うす汚れている水に蠢くイメージだ。すべてはそこに溶け込んで行くような、大人のうす汚れた世界を思春期の男がぬるっと垣間浸かる感じー。
ある地方の川辺に暮らす父親、息子、後妻、近くに住む右手が義手の魚屋を営む前妻、息子の恋人それにアパートの角の女、息子遠馬が中心に織りなす歪んだ欲望の世界だ。〈続く〉

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