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超人の面白読書 92 井上理津子著『さいごの色街飛田』 4

本書は足で稼いでなんぼの世界だ。インタビューの数は40人以上、傑作は「料理」組合の幹部、警察官、ヤクザの話と90歳のお婆さんの話…。幹部は「救済」を強調、警察官は立場上見てみぬふりを、ヤクザはホストと飛田の繋がりなど裏の仕組みをそして自転車に乗ってやって来たお婆ちゃんには意外な一面が……。
本書の魅力の一つは、飛田生まれの“ぼんぼん”(おかんが料理屋経営者だった)の悲喜劇にフォーカス、その寒暖をカメラアイよろしくアナザー・ヒーローに仕立てあげている点だ。切なく泣かせるが、意気地なしとも行間からは読める。人情一本というやつかも知れない。飲んべえ実年の著者は飛田を想うが故に石を投げられ離れて行った、この“ぼんぼん”を捜し当て北陸の地(家人の実家)で飛田脱出の“事故の顛末”を聞き出す。聞いてくれるなと言いつつぼそぼそ語る“ぼんぼん”。今の飛田にはなくなった本来の飛田の情緒を取り戻そうと、改革を叫ぶも見事に弾き飛ばされた。そこには性に絡んだ強欲が蠢き、作られた資本主義の典型的な需要と供給のバランスがある。明らかなのは余計なことをしてくれるなという現状肯定派の圧力だ。

2010年現在の飛田新地の規模を数字で表すと料理屋158軒、経営者150人、昼夜併せたおねえさん450人、おばちゃん200人になるらしい。そして売上推定額は?これは想像するしかない。

ピンク色のオアシス、トビタ…。

阿部定、直木賞作家黒岩重吾、難波病院と篠原無然、事件、ルポ、社会福祉事業の話に歴史統計資料なども加えて飛田の歴史も歩いている。そう言えば、昭和初期に書かれた横浜市史資料・風俗編にも似たような統計資料があった。
(つづく)

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