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超人の面白読書 91 羽田 正著『新しい世界史へ―地球市民のための構想』 2

1887年 帝国大学(現在の東京大学)の文科大学(現在の文学部)に「史学」創設。史学先進国のドイツから教師招聘。「過去をあるがままに見る」実証主義歴史学研究の方法を提唱したランケの弟子のリースが教えた。その後イギリス、フランスなどヨーロッパ諸国の歴史が講じられた。ここで著者は2点注意を喚起する。当初の科目名は西洋史ではなく「史学」、明治日本が手本とした当時の西北ヨーロッパの歴史認識が投影されているという。もう一つは、ヨーロッパ諸国の政治史。
1889年 国史(日本史)の授業開始。この本に依ると、歴史学の導入から2年後の開始は“画期的な事件”だったと。しかし明治以前に「大日本史」のような歴史書は記されていて、近代歴史学の実証的な手法を用いて天皇制国家日本の歴史を描こうすることは、国家史という枠組みを使う点では接合した。これ以後は帝国大学で国史学の研究と教育が連綿と進められてゆくと著者は書く。
1904年 支那史学講座開設。
1910年 東洋史学講座設立。著者は東洋史学の泰斗宮崎市定の言葉、先頭に立って西洋の侵略を防衛するという理想を実現すべき任務を負うて誕生したもの、を引用して一種の実学として成立したと書く。かくして日本独特の「日本史」「東洋史」「西洋史」の3区分が完成したという。これが今日まで続いているらしい。

筆者はかつて日本の学問史を近世後期・近代まで遡及しながら人脈史をチャート化しようと試みたことがあり、その道の専門家に尋ねたことがあった。この分野は教育社会学の分野らしく、一部の研究者たちはその成果を本に纏めたが、この一見易しいそうな人脈形成史はやってみると相当難しいらしい。広島大学や名古屋大学にはこの分野のエキスパートがいるが、個別的な分野、例えば京大人文研などは学者やジャーナリストが書いているので分かり易いが。それと東大をはじめ大学が節目節目に出している大学史、これは参考になる。幕末・明治期の海外渡航者を追跡するのも初期学問形成期には有益だ。仏文学者の鹿島茂が雑誌「ちくま」に連載している「神田神保町書肆街考」(2010.12~2011.2)にも東京大学の成立史を闊歩していて面白い。いや、最初に「お雇い外国人」を持ち出すべきだった…。
話は多少横道に逸れた。歴史学と歴史教育の歴史だった。〈つづく〉

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