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超人の面白読書 87 雑誌『文學界』2011年5月号に掲載の津村節子作「紅梅」を読む 余滴

  『文學界』2011年5月号に掲載の津村節子作「紅梅」の書評は、前回で終了した。作者の記憶力には驚かされるが、さらにはその身辺雑事の書き方の見事なまでのリアリズムにも驚かされた。
 実はこの直前の書評は吉村昭著『三陸海岸大津波』だった。ひょんなことで妻である津村節子を調べていたら、雑誌『文學界』2011年5月号に凄絶な死を遂げた夫をモデルにした私小説が話題になっているとのネット情報を読んだのだ。それから図書館から借出して読もうと3館あたるも、いずれも貸出中で5、6人待ちの状態だった。半ば読むのを諦めかけていた7月の暑い日の午後、仕事があったついでに世田谷にあるS大学の図書館員に思い切って訊ねてみると、地下の書庫にあるとのこと、特別に許可を頂き見せてもらい、コピーも取らせてもらった(勿論コピー代は有料)。はじめは図書館正面入口の受付の女性に尋ねるも外部の人は一定の手続きを取らないとダメですと拒否された。この大学は文学関係では充実している図書館である。感謝。

 午前10時過ぎ、筆者は丸の内にある大手書店の文芸書コーナーを覗いた。『紅梅』4冊平積み。それは新刊群のいい場所から少し離れた場所にひっそりとあった。紅梅は2月に咲く花、今は盛夏だし装丁も渋い(かの有名な丸山応挙の作品。何とも言えない紫と茶の色彩…)、もしかして“ひっそり感”も良いのでは…。タイトルの『紅梅』はもちろん作者の自宅の庭にある梅の木だが、それは寒い冬を耐えぬいて咲く花、作者自身の人生に重ね合わせた象徴とも読める。それが真夏に出た―。

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