« 超人の面白読書 87 雑誌『文學界』2011 年5月号掲載の津村節子作「紅梅」を読む | トップページ | 超人の面白読書 87 雑誌『文學界』2011年5月号掲載の津村節子作「紅梅」を読む 3 »

超人の面白読書 87 雑誌『文學界』2011年5月号掲載の津村節子作「紅梅」を読む 2

 第145回芥川・直木賞は、直木賞に東京都大田区の町工場を描いた企業小説、池井戸潤氏(48)の『下町ロケット』が選ばれたが、芥川賞はなし。前回朝吹真理子、西村賢太氏がデビューして話題となった。今回を総括して選考委員の山田詠美氏が「あまりにも、自分を費やして書いたような作品がなかった」と。芥川賞受賞がないのも文藝春秋社の宣伝―。
 この「紅梅」の作者も芥川賞受賞者の一人(1965年「玩具」で第53回芥川賞受賞)で当時は女性作家の受賞は珍しく大分話題になったらしい。筆者はまだ文学にそれほど関心がなかった学生時代だった。
 「紅梅」は夫が亡くなるまでの日々をある年の元旦から書き始め、穏やかな日々が夫の癌の発覚で転調、死と向き合う日々に変わっていく様が線描画よろしく克明に描かれている。それは小窓を開けて神秘の作家の日常を覗かせてもらっているような情景である。
 一日も欠かさず日記を綴る几帳面な夫の元旦の日記―妻の育子はその日記を時々拝借している―に、今年は小説を書くと記されていたが、1月月半ばに舌の痛みを訴えるようになり、2月にはさらにひどい症状に。妻の育子は夫の親戚に癌で死亡した人がいないか綴る。一卵性双生児みたいな義弟が肺癌、闘病生活では看護も、やがて死亡。夫の舌の痛みを診てもらうため、夫が幕末の医家伝を書いたときに知り合になった医史学が専門の教授に紹介された医師のもとで検査する。次の検査まで時間があるので打ち合わせに使っていたホテルにタクシーで行き寛ぐ。またこのバーに飲みに来ようねと育子。〈あらすじ〉続く。

この小説は7月27日に文藝春秋社から発売予定。定価1200円。

|

« 超人の面白読書 87 雑誌『文學界』2011 年5月号掲載の津村節子作「紅梅」を読む | トップページ | 超人の面白読書 87 雑誌『文學界』2011年5月号掲載の津村節子作「紅梅」を読む 3 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/77059/52270323

この記事へのトラックバック一覧です: 超人の面白読書 87 雑誌『文學界』2011年5月号掲載の津村節子作「紅梅」を読む 2:

« 超人の面白読書 87 雑誌『文學界』2011 年5月号掲載の津村節子作「紅梅」を読む | トップページ | 超人の面白読書 87 雑誌『文學界』2011年5月号掲載の津村節子作「紅梅」を読む 3 »