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超人の面白読書 80 千野栄一著『外国語上達法』 8

 土曜日に届いた「The Japan Times Weekly 」最新号(2011年1月8日号)には文科省の2010年の海外留学統計を参考にしながら海外留学の最新事情が書かれていた。ジャパンタイムズ社説の転載だが、外国で学ぶ人たちが減少している統計数字を具体的にあげていた。2004年がピークで2008年には約67000人減少だったと。その主な理由が、海外留学すると帰国した時に就職できないという不安からだそうだ。大半の企業は大学4年以降の採用をしないということらしい。大学は帰国した学生を受け入れやすい学期制度を創設することや政府は留学する学生に資金援助をすべきだと社説は主張。でなければ日本の将来に大きなダメージを与えかねないと。一方、毎日新聞ではルースアメリカ大使が日本の若者の留学減少について語った記事が載っていた。曰く、奨学金や留学する若者にその期間は仕事を確保しておくような適切なインセンティブ(励み)があれば反応するはずと話していた。(2011年1月9日付1面〈2011 明日への視点〉1)。
 上記は本書と関連する極めて今日的な問題だ。

 さて、本題の『外国語上達法』に戻ろう。
本書は実用書の類いだが、如何せん、著名な言語学者の著者は、なかなかその目的に到達させてくれない。初歩的な言語学のタームも入るが比較的分かり易い。しかし、言語習得に向き合う厳しい姿勢も覗かれる。3000語の単語は覚えておかないと外国語はモノにできない。絶えず繰り返しの作業も必要、それに時間とお金は惜しまないなどと単純明解だが説得力がある。
本書『外国語上達法』を読んでふと考えた。著者千野栄一氏の恩師は誰か?本書の中で時々イニシャルで登場する大先生がいたので、筆者も想像を巡らし検討をつけてみた。
 そして、何かヒントがと思い、筆者の書棚から千野栄一本2冊を取り出して通勤電車の中で斜め読みした(昔読んだはずだったので)。その1冊の古い本のあとがきを読んで判明したのだ(後半はヤコブソンやマテジウス、プラーグ学派の本格的な言語学の話が中心)。徳永康元、高津春繁、服部四郎、木村彰一、V.スカリチ、O.レシュカ、河野六郎の7人の先生だと書いていたのだ(『言語学のたのしみ』大修館 1979年刊)。20110113_2一部はあたり、もちろんチェコの学者は分からなかった。この本には“タモリの言語学“など興味深いエッセイもある。むきになって言語学的分析を行っているところがおかしい。もう1冊は著者の死後に上梓された『言語学フォーエバー』(大修館 2002年7月刊)だ。Photo_5言語学はおもしろいよ、と自らを啓蒙家と言っていたという。巻末の略年譜と主要著作は役に立つ。中身は月刊『言語』に書いたエッセイが中心。チェコは海がないから魚の名前には乏しいが(川や沼地の鯰の話はしたが)、鳥の名前は200以上あるとか言語に関する、好エッセイが今でも光彩を放っている。蛇足ながら夫人も娘さんもチェコ語学者のようだ。
 さてさて、本書で著者はこれからはロシア語だと言っていたが…。叢の下の千野先生、キリル文字に屈折の最たる言語、ロシア人は屈折人ですか(笑)〈続く〉

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