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超人の面白読書 68 NHKテキスト「知る楽 こだわり人物伝」など

 郵便局めぐりや切手の熱中人は102歳、しかも戦前からだから年季が入っている。この熱中人を最後に6年間の「熱中時間」の番組が終了した。大袈裟に言えば、ここには自分を夢中にさせるこだわりの人生があった。ベルグソンのエラン・ビタール(=生の躍動、懐かしい言葉だ)だとあるコメンテーターの一言が印象的。司会はタレントの薬丸氏。
 「知る楽 こだわり人物伝」もそんなこだわり人生を追った番組だ。たまたまチャンネルを回して視た番組だが、これは以前にこれから始まる番組に出演するから視てほしいと京都のある大学の先生からメールが届いた番組。あの時は確か県境の歴史的な話、知る楽シリーズの一つ。今回は去年9月に放送した分の再放送(最近NHKの番組、特に語学番組などは半年で終了して後半は再放送にあてる番組が多くなったようだ)でフランス文学者・森有正を1959年生まれの作家・片山恭一氏(1986年「気配」で文学界新人賞受賞、2001年『世界の中心で、愛をさけぶ』がベストセラー)が語っている。筆者は片山氏の作品は残念ながら読んでいない。彼がデビューした時期は仕事に追われていた時期、かも―。題して森有正 還っていく場所。再放送の最終回のほんの15分を視ただけだが、早速翌々日にはテキストを手に入れた。そして70ページのテキストを昨日読了。昨年の9月に放送していたとは知らなんだ。
 森有正。伝説の哲学者・仏文学者そして知る人ぞ知る著名なフランス語による日本語教本の著者なのだ。確か加藤周一の本だったか、辻邦生の本だったかにそのことが書かれていてずっと筆者の脳裏から離れなかった。要はそのフランス語による日本語教本がほしかったのだ。それがひょんなことから氷解した。昨年の10月頃、ある先生の研究室を訪ねたところ、偶然にも森有正直系の教え子のフランス人がいたのだ。先生にその話をしたら興味を持ったらしくその院生に聞いてくれたのだ。そして3週間後、日本語教本の存在が判明した。パリ大学所属国立東洋言語文化研究所にてっきりあるのかと思いきや、訪ねた先生の研究室から5,6分のところにあるフランス語専門の語学学校にあったのだ。灯台下暗しとはこのことである。で、その森有正著フランス語による日本語教本は、以前に某出版社から刊行済だったが、その先生はわざわざコピーをして送ってくれた。表紙を簡単に作成して今筆者の書棚にある。まだぺらぺら捲った程度、これは英語のテキストで長沼日本語教本、あるいは在日米軍関係者が習う日本語教本(優れていると誰かに聞いた)と比較してみても面白いかも知れないと筆者は勝手に思っている。
 さて、森有正である。1970年代に筑摩書房から出ていた総合雑誌「展望」があった。惜しくも休刊を余儀なくされ、当時の新聞の社会面を賑わしたことを覚えているが、その「展望」に哲学的エッセー風の文章が載っていた。遥かなノートル・ダム他、あまり難しい哲学的な専門用語を使わず、むしろひらがなの多用で解かり易く綴られていたが、中心概念のキーワード把握がどっこい解かりにくかった。そう、<経験>というキーワードである。筆者は今もって体験と経験を使い分けする体験は積んだが、思索する<経験>が足りないでいる。しかし、この森有正の本を読んで以来<体験>と<経験>の違いを意識して来たことは事実だ。<続く>

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