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超人の面白読書 64 吉田豊著『牛乳と日本人』

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 雪印乳業の宣伝部にいた著者が、会社の広報誌「SNOW」に書いたエッセイがこの本。古代から戦後までの長い歴史を扱っていて教えられること度々。牛乳、乳製品の流通や利用について楽しく読んだ。ざっと目次を捲ってみよう。

飛鳥の昔
わが国牛乳飲用のはじめ 飛鳥 蘇の貢木納

木簡は歴史の証人
蘇の木簡 蘇の製法 牛乳の木簡 貢蘇番次

酪・蘇・醍醐
酪と乳粥 発酵乳 蘇と練乳 蘇とバター・チーズ 醍醐
信長・家康・武蔵
貢蘇の廃絶 小説や日記のなかの牛乳・蘇

ポルトガル人の来航
ポルトガル船の積荷 当時の日本人の牛乳 チーズと豆腐

平戸の蘭商館・英商館
商館日記のなかのチーズ 商館長と平戸の殿様

長崎オランダ屋敷
オランダ正月の料理 ツェンベリーとわが国牛乳事情
オランダ商館長の江戸参府江戸旅行と乳製品 ケンプェルの旅行記から 当時の先進的な日本人

安房峰岡と徳川吉宗
峰岡牧場と白牛酪製造 『白牛酪考』の発刊

長崎丸山遊女
遊女のもらい物 シーボルトの書いたわが国の牛乳事情

中浜萬次郎と浜田彦蔵
アメリカ滞在中の萬次郎・彦蔵と牛乳

徳川斎昭の先見
斎昭と牛乳・酪 米国艦内の食事 愛娘・八代姫 徳川慶喜

函館と下田
米国貿易事務官ライスと牛乳 ハリス総領事
と牛乳

遣米・遣欧の使節
使者たちとバター・アイスクリームとの出会い

幕府奥医師の松本順
西洋医学にも通じた漢方医 牛乳の普及に尽力

 以下サブタイトルは省く。
 横浜発祥、マスコミによる啓蒙、乳母知らず、武家の商売、初期の官営施設、エドウィン・ダン、牛酪・乳油・乾酪、地方の先駆者、クラークとモース、涼味賛歌、北海道のリーダーたち、明治の文学、東京牧場とミルクホール、北海道の当別・遠浅、学校給食

日本の牛乳史年表・参考書・文献付き。本文198ページ。
 筆者は所謂“牛乳もの”をここ2、3ヵ月読んできた。その中には雪印乳業や森永製菓の社史(明治乳業はこれから)も入っていた。近代の所産と勝手に思い込んでいた牛乳・乳製品とその利用には、実は、長い歴史があったのである。この本には近代以前の牛乳・乳製品とその利用に関する雑多な知識が散りばめられていて読む者を楽しくさせてくれる。著者もあとがきで書いているように、本書の狙いは牛乳・乳製品の利用が古代から始まったが途中で中絶してしまったことの疑問、仏教の影響であるとのことだが著者はこの説を採らない。飛鳥・奈良・平安時代のあと空白期間となり、明治期に吹き返して戦後は体位向上・健康増進という見地から牛乳・乳製品の需要が伸びてきたと著者は書く。やはり「牛乳は薬」、その効用は今や計り知れないが、牛乳・乳製品の歴史を紐解くとそのことがよく分かるのだ。また、著者はよく調べているだけではなく、その成果を何気なくエピソード風に語っている。江戸時代の安房峰岡、萬次郎や彦蔵などの話も面白いが、ここは特に幕末・明治時代の牛乳・乳製品の話が興味深い。

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