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超人の面白読書 57 西成彦著『世界文学のなかの『舞姫』』前編

Img073_3今日6月2日は横浜開港150周年。MM21周辺では式典が行われ、盛大に花火が打ち上げられるという。また、50周年、100周年、150周年の新たな企画展も始まる。そんなお祭りムードの横浜だが、筆者は先週小雨混じりの中、港の見える丘公園近くの『神奈川近代文学館』200905291316000_2
を訪ねた。『舞姫』の作者と言えばあまりに有名なあの文豪森鴎外、その企画展が開催中だからだ。最近はギャラリートークといって、学芸員が企画展のあらましを大きなスクリーンの前で話してくれるから理解が深まる。今の時代は多角的でないと人が集まらないのだろう。そんな文学館事情も覗けた2時間だった。一つ二つ感想を。森鴎外はドイツ語が相当できた。衛生学の学術書をドイツ語で書いた本も展示されていたが、当時の東大医学部はドイツ語で講義していて、森鴎外は教科書のメモ書きを漢文でしていたほど漢籍に素養もあった。筆者もドイツ語は一時大学受験科目に選んだほど。今はすっかり忘れた。少し勉強すれば戻るかもしれないが、何せ気力がない。森鴎外のひい孫のエッセイスト森美奈子氏がかつて森鴎外がドイツで泊まった場所を訪ねた写真や作詞した横浜市歌などの貴重な資料も展示されている。この企画展の最後に夏目漱石が森鴎外宛に送った手紙が展示されていたが、これまた、達筆だった(筆使いも素晴らしい。あまり達筆過ぎて読めない!)。漱石も漢文に通じていたが、英文は鴨長明の『方丈記』を訳したぐらいだから、これまた、相当の語学力である。もちろん英国留学経験のある英文学者だ。学生時代に漱石の訳した英文を筆写したものだ。二人とも諸芸に秀でた文豪なのだ。それにしても彼らの時代から100年以上も経っているのに知の地平はお寒い限りだ。もう一つ。森鴎外の軍医と作家の二足のわらじや家族愛などがわかる手紙類が豊富に展示されているけれども、通俗的だがやはり、『舞姫』のモデル探しが一番面白い。エリーゼ・ヴィーケルト。森林太郎を追って当時のドイツから遥々横浜港までやってきたのだ。また、わずか10余日間滞在で森家は年上の義弟の計らいで追い返してしまう。その時の森林太郎の様子はいかがだったかつい想像したくなる。死ぬ直前に妻に彼女に関する手紙類を燃やさせたが、意外と妻の方はあっけらかんとしていたのではと推理するのは、この5月に出たばかりの『世界文学のなかの『舞姫』』の著者西成彦氏だ。〈後編〉に続く

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