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超人の面白読書 52 青柳恵介著『風の男 白洲次郎』

 NHKドラマスペシャル『白洲次郎』が昨日2月28日に放送された。白洲を伊勢谷友介、妻の正子を中谷美紀、白洲の父親の文平を奥田瑛二、吉田茂を原田良雄、近衛文麿を岸部一徳など豪華キャストで白洲次郎とその周辺を描いた。第1回目は「カントリージェントルマン」。全3回でこのとてつもない人物と周辺を描くことが並大抵ではないことは容易に想像がつく。やはり脚本家の視点が問題だし、どうこの人物をデフォルメするかがポイントだろう。第1回目はテンポも速く、豪華キャストの演技にも迫力があったようだ。来週の土曜日、第2回目のタイトルは「1945年のクリスマス」。この題名はどこかで聞いた。あの白洲次郎と同じ時期にGHQにいて女性の権利を憲法に盛り込んだベアテ・シロタ・ゴードン女史の書いた本と同名だ。

Img062青柳恵介著『風の男 白洲次郎』(新潮文庫 400円)をここ2,3日で読んだ。今やいろいろと伝説化された人物「実業家!白洲次郎」の評伝だ。中学時代のワルガキ時代、イギリスのケンブリッジ時代、白洲商店の倒産で帰国、ジャパンアドバタイザーの新聞社や商社の役員時代、政界との付き合いの時代、鶴川村での百姓時代、戦後の占領期時代、電力会社会長時代、武相荘、ゴルフクラブの理事長時代の晩年と一応区切ることはできるが、その83年の彼の生涯はドラマチックだがスマートな英国紳士風の魂(オックスブリッジの教養)を身につけて実戦したとも理解できる。と同時に、そのものさしにもはみ出る、ある時代の申し子を読み取らざるをえないようだ。戦前・戦後のある時期はまさに乱世、その時代をこの本の題名にもなっている“風の男”として疾走したのだ。それはパトスのなせる業なのか、人の繋がりを大事にするエトスとデモクラテックで合理的な思想をも持ち合わせたおよそ日本人らしからぬ「国際人」であったからなのか、いや、両方だと思うのだ。また、彼のユニークなキャラクターとスタイルも絵になり人をひきつけて止まないのも人気の秘密かもしれない。日本人ばなれした風貌に英国仕込みの服装とマナー、大正・昭和時代の先駆的なカーマニア、最後にはとうとうトヨタのニューソアラ開発のアドバイザーまでやってしまうかと思えば、最初にジーンズをはいた男はこれもまた、オシャレか、三宅一生のファッションモデルにもなるし、なかなかカッコいい、それでいてキングスイングリッシュが身についていて(10代後半から大学院まで9年間英国滞在)、戦後の占領期時代のGHQの将校に英語が堪能と言われて、その相手にあなたももっと勉強したらこうなるとからかったほどの人物なのだ。昔ワルガキだけあって喧嘩も強いときている。何て言うかな、やんちゃなダンディズムを地で行った人だろう。

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