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超人の面白読書 38 雑誌斜め読み「論座」4月号

Img007_43月4日の米大統領予備選ミニチューズデーはクリントンが崖っ淵から巻き返してテキサス、オハイオ、バーモント、ロードアイランド州で3勝1敗、まだ民主党指名争いは分からずとの報道がリアルタイムで入ってきた。オバマ陣営のCHANGE &“Yes,we can.”に対してクリントン陣営はSOLUTION &“Yes,she will.”のキャンペーン強調フレーズ。ワイオミングやプエルトリコ自治区などを残しているが、若さ、変化、弁舌の魅力で今や若者や黒人層を取り込み、ムーブメントの様相を呈しているオバマ氏が競い勝つだろうとは専門家の見方だ。一方の共和党はマケイン氏が指名獲得した模様。それにしてもアメリカ大統領選は資金的にも精神的にもタフさを要求されるけれども、若者が積極的に政治に参加していて盛り上がっている様は、ロシアが最近形式的な選挙戦でプーチン大統領からメドベージェフ氏に移行されたこととは、選挙結果とは言え段違いである。翻って日本の政治状況を見れば、お寒い限りだ。他人事みたいに発言してやまない首相だが問題が次々と起こっても解決どころか問題が却って山積みになってしまっている。日銀総裁人事で与野党紛糾、ねじれ国会埒開かずである。

 雑誌「論座」4月号は小特集“理想の書評を求めて”。英文学、独文学、仏文学の研究者と朝日の記者の小文を読んだ。英文学者小野寺健氏の文章が示唆的だ。日本の書評新聞は堅すぎ、指摘したとおり一面にもっと軟らかいものとジャンルの広がりもほしいところだ。同感である。イギリスの書評紙「タイムズ文芸付録」(TLS)、アメリカのニューヨーク・タイムズの書評紙"The New York Times Book Review"にも言及していて面白いが、何と言ったって自宅の特注の大きな備え付け郵便箱の話が最高。洋書が夜中に届いてドカンと落ちる音がして静寂を掻き乱すと書くが、否、多少のワクワク感もなくはないだろうか、そんな思いもしたが。

 筆者は毎日、日経、朝日、読売、東京新聞の日曜日書評欄には(購読紙以外の分は月一二回程度はコンビニなどで購入)目を通しているが、最近は毎日が新聞書評としてはいい、その次がよみうり堂、そして朝日、日経、東京の順だ。朝日が以前ほどインパクトがないような感じがする。字数も少ないし。いつだったか作家の丸谷才一がある本の書評で、書評は単なる本の紹介だけではなく評論の役割も担うのだと力説していた。毎日新聞などは夕刊に本の紹介を兼ねたページを週一回割いていてなかなかいい。かつて若い頃ニューヨークタイムズの書評紙を購読していたけれども、お金と時間が不足気味で長くは続かなかった。ある程度読みこなすためには充分な語学力も必要なことは言うまでもない。雑誌「ニューヨーカー」の書評欄はジョン・アプダイクやジョージ・スタイナーが寄稿していて読み応えがある。週刊文春、週刊朝日などの書評欄にも目を通していたが、今はそんな時間的余裕もなくほとんど読まない。PR誌「図書」、「學燈」、「未来」、「UP」「一冊の本」、「書標」、「SCRIPTA」、「有隣」などは読む。ブログなどインターネット上の書評も見る。
そんな中この「論座」の書評欄、「読書空間」は312ページの著者インタビューから始まって338ページの版元紹介で終わる26ページもの。やや硬派モノが並ぶが読ませる。荒木正純著『芥川龍之介と腸詰め−「鼻」をめぐる明治・大正期のモノと性の文化誌』(悠書館 2625円)が著者の発想といい、英米系の文学理論で「読み」解くところが面白そうだ。全部で21冊取り上げていた。国際政治学者遠藤誠治評 ジョナサン・ハスラム著『誠実という悪徳E・H・カー 1892-1982』、エコノミスト加藤出評 アラン・グリーンスパン著『波乱の時代』、朝日新聞記者岩井克己評 原武史著『昭和天皇』、精神科医春日武彦評 カトリーヌ・クレマン著『フロイト伝』、美術批評家高島直之評 鈴木雅雄著『シュルリアスム、あるいは痙攣する複雑性』、東大大学院准教授で日本近史が専門の加藤陽子氏の連載 新・文庫主義 11 小林秀雄『考えるヒント 3』、本の虫日記の今月の執筆者は作家久間十義氏などだ。

 日本の書評スタイルは欧米のものとは違っておとなしく形式的だ。偏見、酷評、論争などの戦闘的な欧米の書評と比べれば談論風発程度が目一杯、しかも短い。朝日新聞論説委員の三浦俊章氏のアメリカ書評事情ではやはりニューヨーク・タイムズ書評専門記者の日系ミチコ・カクタニが取り上げられていた。辛辣だが切れ味もいいとニュースとコラムを備えた書評例としてその文章を訳出している。驚嘆に値するのはそのNew York Times Book Reviewが125.000部も購読されているという事実だという。書評のプロと確かな情報源としての「書評」の役割をきちっと打ち出して行ける専門書評紙"The New Nippon Times Book Review"(仮の話で仮のタイトル)を構築する必要があるのかも知れない。

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