« 超人のドキッとする陶芸 宮川香山作「渡蟹水盤」 | トップページ | 超人の面白ラーメン紀行 80 京都上京区『あかつき』 »

超人の新聞書評欄斜め読み 4 読売・朝日・東京・日経・毎日

  景気の鈍化が止まらない現状をマスコミが連日報道しているが、2008年は始めの月から激動の年を思わせるニュースが相次いでいる。アメリカのサブプライム問題が深刻でブッシュ大統領は景気対策として大型減税を発表したばかり。だが、それもそう効果なくウォール街の関係者のがっかりした表情が今日の朝刊の一面に載っていた。借金が増え続けるアメリカ、日本売りもここに来て起こり、ロンドンでは日本の財務省関係者が高橋是清以来101年振りで国債売り込みに懸命とか。そんな折ロシアが日本に銀行開設を望んでいるらしい。それも10数行とはサプライズだ。原油高は日本の経済を確実に減速化の速度を速めているし、原料費高騰で物価は上がり、消費落ち込みも目に見えるようだ。この国の経済対策は失われた15年から脱却すれすれでまた、ダメージの様相を呈し、鋭く世界を読み込んだ政策を打ち出せずにもたもたしている。もはや日本は経済二流国に成り下がったと今国会で経済改革担当大臣が演説、その発言に波紋が広がっているが、それよりも中長期の具体的な経済対策が政治の舞台で問われているのではないかと思うのだ。余分な贅肉を落とす改革を急げと言いたい。

  さて、久し振りの新聞書評欄渉猟である。アトランダムに面白そうな本を拾ってみよう。
玉岡かおる著『お家さん 全2巻』新潮社 各1600円
明治時代に創業し大正時代が全盛でその後消えてしまった巨大商社の鈴木商店。そのトップの鈴木よねを中心に描いた経済小説。筆者は大正期全盛だった星製薬のトップの星一ことを調べたりしていて、鈴木商店もここ何年か気になっていた企業だった・・・。

大宮勘一朗著『ベンヤミンの通行路』未来社 2800円
ドイツの批評家ヴァルター・ベンヤミンはパリの都市を論じた『パサージュ論』が有名だが、都市と旅行を巡る回想の本書は、今ゴミ問題で揺れるナポリの特徴をベンヤミンは「多孔質」と指摘したとか。評者・田中純氏は引用する、「息、空気、風−幸福の在処」、「通行路」とはそんな風の通い路である、と。筆者は30代、40代前半時にこのベンヤミンが好きだった上司から苦しいときに思い出すとベンヤミンの言辞を散りばめた長い手紙をもらったことがある。その後も多少は拾い読みした程度で終わっている筆者だが・・・。
【読売新聞書評欄「よみうり堂」】

飯沼信子著『野口英世とメリー・ダージス』水曜社 1890円
明治大正時代に国際結婚した5組の夫婦の生涯を描いたノンフィクション。野口英世とメリー・ダージス、アドレナリン抽出で有名な高峰謙吉とキャロライン、最後の上田藩主の弟でブルックリン橋建設に貢献した測量技師松平忠厚とカリー、日本薬学の開祖長井長義とテレーゼそれに鈴木大拙とベアトリスの5組。

週間ベスト10
女性の品格 板東眞理子著 PHP新書
広辞苑 第六版 普通版 新村出編 岩波書店
親の品格 板東眞理子著 PHP新書
ホームレス中学生 田村裕著 ワニブックス
大人の見識 阿川弘之著 新潮新書
こころに響く言葉 池田大作著 主婦の友社
余命1ヵ月の花嫁 TBS「イブニング・ファイブ」編 マガジンハウス
おひとりさまの老後 上野千鶴子著 法研
日本の十大新宗教 島田裕巳著 幻冬舎新書
お金は銀行に預けるな 勝間和代著 光文社新書
(1月16日、トーハン調べ)
筆者はこのベストセラーランキングを見て半分が道徳や倫理的な本で占められているといった感じでちょっと怖いな。これらの書き手は本当に模範的なことをしてきたか訊きたくなるネ。一冊も読んでいない筆者としては・・・。
【朝日新聞書評欄】

藤村信著『歴史の地殻変動を見すえて』 岩波書店 2940円
熊田亨こと藤村信は元中日新聞の特派員、長らく雑誌「世界」に何々通信を激動のパリから書き送り、その後岩波新書になって読み継がれた現場報告のプロ。この著者はだれだと著者探しに躍起になっていた頃が懐かしい。
彼の死後大型封筒から発見されたものが本書。湾岸戦争の時に、「血が軽い」エジプト人と「血が重い」イラク人の比較で捉えた視点はすごいと評者・山内昌之氏。
【東京新聞書評欄】

星新一著『ほしのはじまり』 角川書店 2500円
新井素子選54編単行本初収録のエッセー18編も収録。これは筆者も購入したい。
【日経新聞書評欄】

書評欄にある「好きなもの」コーナーでは林真理子を取り上げている。柿ピーを新幹線で読書しながら食べることだそうだ。人それぞれだが・・・。
【毎日新聞書評欄】
ここまで書いてきて今週の書評欄はあまり芳しくないとは筆者の素朴な感想。

しかしながら、ひとつ面白い記事を書評欄でないところで見つけた。"訳書で味わう名著"新訳・旧訳・訳者・・・どう選ぶ、異なる文体や時代感覚と見出しが躍った日経新聞セカンドステージ欄。そしてこんな五箇条を掲げている。参考のため引用してみる。

名著古典の読書5ヵ条

1.まず新訳の有無をチェックする
2.訳者や校訂者の考え方を知る
3.あまり原典にこだわらない
4.人文科学や社会科学にも注目
5.ペース配分を考える

筆者はカントの「永遠平和のために」(池内紀訳 綜合社刊)は読んでみたい。そして、ぜひ新訳になったら必ず読了したい本、それは『資本論』だ。

■The New York Times Book Review 今週のベストセラー
ハードカバー部門 
Hardcover Fiction
Published: January 27, 2008

Buy These Books From:
This
Week Last
Week Weeks
On List
1 PLUM LUCKY, by Janet Evanovich. (St. Martinos, $17.95.) Stephanieos mother finds a bag of cash and goes gambling in Atlantic City, pursued by the money's owner. 1
2 A THOUSAND SPLENDID SUNS, by Khaled Hosseini. (Riverhead, $25.95.) A friendship between two women in Afghanistan against the backdrop of 30 years of war. 1 34
3 PEOPLE OF THE BOOK, by Geraldine Brooks. (Viking, $25.95.) A rare-book expert unlocks the secrets of a medieval manuscript. 7 2
4 BLASPHEMY, by Douglas Preston. (Tom Doherty/Forge, $25.95.) A C.I.A. operative tracks scientists with a huge supercollider who are poised to discover the secret of creation. 1
5 WORLD WITHOUT END, by Ken Follett. (Dutton, $35.) Love and intrigue in Kingsbridge, the medieval English cathedral town at the center of Folletts Pillars of the Earth. 4 14
6 * THE SHOOTERS, by W. E. B. Griffin. (Putnam, $26.95.) An Army officer on the trail of a missing drug enforcement agent is undermined by the military and intelligence communities. 3 2
7 DOUBLE CROSS, by James Patterson. (Little, Brown, $27.99.) Alex Cross and his new girlfriend, a police detective, confront a boastful Washington killer. 2 9
8 T IS FOR TRESPASS, by Sue Grafton. (Putnam, $26.95.) Kinsey Millhone must contend with a woman who has stolen a nurse's identity in order to take advantage of Kinsey's elderly neighbor. 5 6
9 THE DARKEST EVENING OF THE YEAR, by Dean Koontz. (Bantam, $27.) A woman who rescues golden retrievers and one special dog are shadowed by an evil stranger. 6 7
10 THE SENATOR'S WIFE, by Sue Miller. (Knopf, $24.95.) A woman lives with her husband's persistent infidelity.
このニューヨークタイムズの書評紙には書評歴25年の辛辣な批評でも知られている日本人のMichiko Kakutani角谷美智子氏の書評も多く載っている。
Rankings reflect sales, for the week ending Jan. 5, at many thousands of venues where a wide range of general interest books are sold nationwide. These include hundreds of independent book retailers (statistically weighted to represent all such outlets); national, regional and local chains; online and multimedia entertainment retailers; university, gift, supermarket, discount department stores and newsstands. An asterisk (*) indicates that a book sales are barely distinguishable from those of the book above. A dagger (・ indicates that some bookstores report receiving bulk orders. Among those categories not actively tracked are: perennial sellers; required classroom reading; text, reference and test preparation guides; journals and workbooks; calorie counters; shopping guides; comics and crossword puzzles.
【The New York Times 2008年1月20日付電子版より】

|

« 超人のドキッとする陶芸 宮川香山作「渡蟹水盤」 | トップページ | 超人の面白ラーメン紀行 80 京都上京区『あかつき』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/77059/17762219

この記事へのトラックバック一覧です: 超人の新聞書評欄斜め読み 4 読売・朝日・東京・日経・毎日:

« 超人のドキッとする陶芸 宮川香山作「渡蟹水盤」 | トップページ | 超人の面白ラーメン紀行 80 京都上京区『あかつき』 »