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最近買い込んだ書籍・雑誌など拾い読み 3

最近買い込んだ書籍・雑誌類。
yom yom 12月号(新潮社)
作家・南條竹則 イッキ読み「ドストエフスキー」十篇15冊をイッキ読み
爺さん臭い文章は鼻についたが、まだ読んでいない新訳の「カラマーゾフの兄弟」に着手するきっかけを作ってくれそうだ。この年末年始に挑戦してみるか。本当は夏休みだったが−。

森まゆみ 文さんと茉莉さん−山本夏彦「最後のひと」を読む
幸田露伴の娘、幸田文はどっちかと言えば男性的できちっとしていた女性、それに比べて森鴎外の娘、森茉莉はお嬢さんっぽい、両方とも父を書いて作家になった女性。その山の手、下町またその堺に育った背景が息吹く硬軟の文章と妙。筆者はこの二人の女性作家の作品を新刊時に書店で立ち読みをしたものだ。森まゆみは文体(昨日読んでいた本に文体について書いてあったが、文体とは"文章の形式"。福澤諭吉の文章は伝えることを眼目においているので美辞麗句の少ない平明な文章で書かれているとその本には書いてあったね。)に言及して今年のベストセラー、坂東眞理子著『女性の品格』には文体がないとバッサリ。その点山本夏彦には文体があり、その彼の『最後のひと』は日本文化のすじみちを見きわめようと思えば、必読書だという。茉莉と言えば、筆者などは詩人・金子光晴の妻−奔放極まる生き方はそのものが芸術みたいな女性−をすぐ思い出してしまうが。女性作家にはそういう女性が結構いる。

石田依良 ダンディにはなれないけれど −田村隆一に学ぶ、荒地の詩人のダンディズム
詩人・田村隆一の詩を読んでいた話。52歳の時4番目の妻が友人の詩人・北村太郎に取られた話など艶っぽいがダンディ。これも大塚の料亭の家に生まれ早くから花柳界に親しみ「粋」を知った人のサガか。荒地派はもはやいない。

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山室信一著『憲法9条の思想水脈』(朝日選書 2007年6月刊 1300+税)
「足下をおろそかにするな、己の立てるところを深く掘れ、そこに必ず泉あらん」と先人の言葉を前書きで著者は引用しながら、日本国憲法第9条の平和主義の思想水脈を掘り起こしている。今こそ持続可能な平和憲法が必要なはずだが、嫌な風が吹いていることも事実だ。一読に値する本。
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ドリス・レッシング著 山崎勉・酒井格訳『草は歌っている』(原題:The Grass is Singing 昌文社 1970年6月初版
2007年11月新装版一刷 2100円)
今年のノーベル文学賞作品。代表作『黄金のノート』を探したが絶版のまま。これは図書館で借りて読むしかないか。このところアフリカはローデシア(現ジンバブエ)での出来事が目に付く。この本も著者が育ったローデシアでの物語。訳者あとがきにはこう書かれている。一つの文明の欠落をその落伍者を通じて暴き出すこと。植民地支配が他人の犠牲において己れを肥やすという本質的な悪ゆえに必然的に滅亡しなければならない過程をターナー一家の破滅を通じて描くこうとしたとある。
                  
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學鐙 冬号
チェコの鯉料理 明治大学教授・薩摩秀登
海のない内陸部のチェコ。強いて言えば日本国は長野県、しかしそんなに高い山はないはずだ。勿論ボヘミア平原はあるのだから盆地くらいはある。淡水魚に関する本格的な概説書『チェコ淡水魚史概説』もあるが、ここでは雑誌『歴史と現在』の2007年8月号に載った近世史家・P・ヴォレルの簡潔な紹介文を参考にしながら、チェコの淡水魚の話を書いている。淡水魚業は結構古く16世紀まで遡り、担い手は貴族だったらしい。それから5世紀後の今は観光パンフレットにも川魚料理がしばしば載るようになって来たという。鯉のフライやグリルは他のヨーロッパでは珍しい料理で、チェコ自慢の郷土料理だと書く。同じヨーロッパでも北のデンマークでは鰻料理があリ、日本でも有名な『スカンディア』に行けば食べられる。否、ここはチェコの鯉料理でした。

紅野敏郎「學鐙」を読む (192)−富士川英郎(下)も面白く読んだ。ドイツ文学者でリルケの翻訳者の富士川英郎は医者で総合的医学史研究者の父・游のことについて書いたことなど晩年の富士川英郎の学問と詩に言及している。

一冊の本 2007年12月
最近のPR雑誌では読み応えのある雑誌だ。108ページもある。編集後記曰く、今年いったい何冊の本を読めたか。筆者も考えていたことだが。

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『萩原延壽集 1 馬場辰猪』(朝日新聞社 2007年11月)
筆者はある先生に名著だよと言われて古本屋を二三軒歩いたが、当時その文庫を見つけらず諦めていた。そして忘れてもいたのだ。今回その名前を聞いて早速購入。市井の歴史学者・萩原延壽については、その昔朝日新聞の夕刊でアーネスト・サトウ抄を読んでいたので彼の歴史を見る目、その調査能力と洞察それに文章に魅せられたものだ。再会は特異の自由民権運動家・馬場辰猪だ。面白い。

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