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超人の面白読書 30 荒俣宏著『大東亜科学綺譚』

Img192_2荒俣宏著『大東亜科学綺譚』(1991年刊 筑摩書房)を拾い読み。勿論その中の「冷凍を愛した熱血漢 発明事業家・星一」だ。しかし、もう一つ最近注目している人物もこの中に選ばれている。「大和魂を科学した人 駿河湾の生物学者・中沢毅一」である。前口上 まぼろしの日本科学再訪と題して人造人間は微笑する 万能科学者・西村真琴、火星の土地を買った男 科学啓蒙家・原田三夫、江戸の玄獣事典 博物学者・高木春山、まぼろしの大東亜博物館 中井猛之進と"ある執念"、よみがえる徳川政治 徳川義親と昭南博物館、絶滅鳥を愛した探検家蜂須賀正氏と冒険博物学、南洋の若さ学徒たち 畑井新喜司とパラオ熱帯生物研究所、昭和天皇とアメフラシ 呪儀と科学のあいだ、ラストエンペラーの熱帯魚飼育 満州・中国ナチュラリストと11人を扱った痛快科学話。その中から星一に関する写真をいくつか引用してみよう。やはり当時としては画期的と言わざるを得ないシーンだ。

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本書から面白いエピソードを引用してみよう。
星製薬会社が大谷米太郎に渡った後、大谷は製薬工場跡地に巨大なビルを建設した。五反田のTOC(東京卸売センター)ビルがそれだ。中略。われわれはせめてこの神社(星一が建てた親切第一稲荷神社)に詣でようと思い、五反田のTOCビルへ出向いた。時刻は夕暮れに近かった。正面入口をはいったホールにたち、五十音順に出ている各階の会社名簿を調べてみた。すると驚いたことに、消滅したはずの星製薬がちゃんと出ているではないか。われわれは目を疑った。階は二階とある。すぐにエレベーターに跳び乗ったが、その表示ボタンに2の数字はなかった。とりあえず3を押すと、エレベーターは三階に停止した。
二階が存在しないのだ。
「もしかしたら二階は<幻の階>じゃないか。星製薬を記念する目的で設けた、あり得べからざる階 ! まるで怪談だね」
われわれは何だか慄然としながら階段をくだった。着いたのは、やはり一階ホールだった。そこから奥を眺めると、遠くに医院が見えた。この医院へは小さな階段を登っていくようになっている。中二階といえるようなものではなく、ちょっと高くなった玄関階段といった感じだ。
念のためにその階段を登ると、医院の脇に長い通路が伸びており、何と、その突き当たりに<星製薬>の看板が見えた。われわれは幽霊でも見たように一瞬蒼ざめ、恐るおそる扉を叩いた。応対に出たのは若い社員だった。
「あの・・・・・」
「は ? 」
「あの、こちらは星一さんが創設された星製薬でしょうか ? 」
「はい、星製薬でございます」と、若い社員は明るい声で答えた。われわれはもう狐につままれた思いで重ねて質問した。
「でも、星一さんのご遺族からお聞きしましたところでは、会社はなくなったと・・・・・」
社員はまた笑って、こと細かに事情を説明してくれた。要約すれば、星製薬を引きついだ大谷は星の名と事業とをその後復活継続させ、TOCビルの一角にオフィスを与えていたのである。社員が見せてくれた星胃腸薬も、確かに星薬科大学資料室で見たものと同じパッケージだった。東京では知られていないが、星の故郷福島やチェーン店活動が盛んだった北海道では現在もなお相当のシェアを占めるという」
屋上には親切第一稲荷神社が名前を孫太郎稲荷と変えて残っていて、毎月一日が礼祭、課長以上が参拝し年に一度は大祭もあるという。筆者も星薬科大学星一資料館とTOCビルの一角にある星製薬会社を訪ねてみたい。そのときはまた、新たな報告が出来るかも知れない。


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